日本エコハウス大賞とは、
「意匠(デザイン)と性能の両面で優れた住宅を表彰する、設計実例コンテスト」
グランドピアノのある家「中野山の家」が、
2018年度の大賞候補の4作品に選ばれましたので、シリーズでご説明しております。
最後の記事として、性能面(温熱環境)の特徴をまとめてみます。
敷地の東側が3階建てのために、建物ボリュームと窓レイアウトを、
スケッチアップというソフトを使って、どの季節に、どの窓に日射が入るかをシミュレーションしております。
また、冷暖房と室温の変化はホームズ君によって試算されております。
ホームズ君は、東大の前准教授が開発に関わった 国産最強の温熱計算ソフトです。
他のソフトは、一日当たりの熱収支を計算するが、
このソフトは一時間単位で、部屋ごとの温度変化までシュミレーションすることができます。
新潟の気候は、 冬は氷点下になり、夏も30度以上に暑くなる。
冬は床下エアコン1台で、夏は吹き抜けの上の1台で、冷暖房を行う。
床が暖かく、設備も最小で済む方式で、オガスタの定番手法です。
これによりオールシーズン、リビングの室温を20から28度の間にキープした場合のエネルギーはどの程度必要なのか?
冷暖房負荷から、年間の冷暖房でのエアコンの電気使用量が計算された。
1年の冷暖房のエアコンの電気代が28,500円という結果になりました。
低燃費は暖房負荷を確認する
試算値の違いで
「中野山の家」の燃費性能は、一般性能の住宅とでは1/4ほどとなり、圧倒的に次元が異なります。
暖房の電力使用量から、暖房COPを3.5として計算して、延べ床面積で割ってみると、
暖房負荷が、22.4kwh/㎡となります。(UA値よりここが重要)
この数値はエコハウスアワード2016でグランプリになった
信濃町の家に匹敵する低燃費ということ。
ちょっとよすぎはしないか? 心配ですが。
前准教授ソフトを、飯塚事務所が使って計算した結果だから大丈夫でしょう。 (笑
性能を支えているのは、パッシブな設計と外皮性能(建物の断熱性)です。
UA値= 0.28という数値になります。
(東京ガスのサイトより転載)
現在、理想的な外皮性能とされている、HEAT20のG2グレードは、
5地域の新潟においては、UA値=0.34です。 この数値は少ないほうが熱が逃げにくい。
(義務化すらできていないH28基準ではUA値=0.87! 熱がダダ漏れで結露の確実に生じる家になります。
このやばい性能ですら 野放しであるのがこの国です)
「中野山の家」は、UA値=0.28で、北海道のG2グレードに相当します。
よく、世間での一般的な断熱性能から、性能アップで掛けたお金は回収できるか?
という議論がありますが、 これをお金の収支だけで論じることの馬鹿らしさを感じます。
地球規模での温暖化対策への貢献・ 中で暮らす人の健康改善という非経済的メリット・
何よりも 満足度向上という 長期にわたる心理的な価値を含めて、
数値により定量化して比較する必要があろうかと思います。
計画で余裕がある場合は、これくらいの性能の住宅にしたいものです。