西芳寺のマーケティング
世界遺産(世界文化遺産)ではる 西芳寺は、苔寺(こけでら)として高名で、
真の実力がある禅寺である。
故天野尚も西芳寺の感性を高く評価していた。
ADAから出版された激レア季刊誌「SUIKEI」より、一部抜粋。
「虚飾を排し、理にかなった自然の姿を保つ」という精神が形になったものであり、
根元を苔に覆われた樹木や、風雪にさらされた石の趣は「侘び寂」が感じられる。」
今回、西芳寺はぜひ訪れたいと願ってた場所だが、期待以上であった。
まずは 美しい庭を 見てくだされ。
(これは ウィローモスとクリプトコリネの水槽にそっくりです。)
(これが水草水槽)
(茶室:内部に入ると建具の高さが違ってくるので、高さが計り知れなくなる効果を狙っている)
数多くある京都の庭園の中でもとりわけ名高いので、
黙っていても来訪者が来るが、禅寺の静けさを維持したい。
大量にマナーの悪い来訪者が訪れると、苔の庭の路地が踏み荒らされる心配がある。
具体的には爆発するアジアン観光客と修学旅行者が来ないようにし、
まじめな来訪者だけくるように絞り込んでいる。(セグメンテーション)
① 事前予約制
西芳寺はネット申込ではなく、往復はがきで申し込みが必要である。
以前は宮内庁管轄の、桂離宮も同様にはがきでの事前申し込みであったが、
NET予約を導入した。かなりかたくなである。(それがよい)
これにより外国人観光客と、時間に余裕のない修学旅行客がこれなくなる。
工務店の内覧会においても、「事前予約」と「オープン」と、2つの方法があるが、
来場者の質なのか量なのか? 何を狙っているのかで分かれてくる。
② 体験型の付加価値で高単価。
事前予約制度で拝観者の総数は確実に減るが、
維持管理するうえで、狙った売り上げは維持しないとならない。
拝観料が500円程度のところが多いのであるが、西芳寺は3000円と高額となっている。
境内に入ると、般若心境を唱和したのち、経木に願いを筆で書く。
こうした仏教的な儀式を終えないと、庭園見学ができないようになっている。
文句なしに素晴らしい庭の拝観と、仏教体験とがあるので、3000円でも納得できる。
ざわついた来訪者がいないおかげで、心静かに堪能できました。
真の実力のあるものだけが可能な、(ブランディング)であると感心した次第です。
工務店経営においては、
「有料設計提案」でいくのか「無料設計」にするのか?
数をやりたければ 無料設計。 質を維持するなら設計は無料は厳禁です。
敷居を下げ過ぎるのもお客様のためにならないケースもあるのだと、
西芳寺は教えてくれる。
また、「体験宿泊」や「ワークショップ」などの企画などの体験型イベントは
お客様が「納得」する経験へと昇華できればとてもよい。