大地の芸術祭2015写真集 2 川西地区の新作
K090 「けれどたしかにある光」
今回は川西地区から松之山にかけての2015年新作を中心にご紹介します。
会場は川西の「ぶなの木学舎」 ここは建築が素晴らしい。
後で詳細を見てみると、民家研究家である長岡造形大の宮澤教授が中里村にあった旧広田家住宅を譲り受け、移築し民家再生を行った建物だ。
パネルラジエーターや木製ぺガラスサッシの採用をしてあり、高気密化も試みて「寒く無い民家」を目指した。
現在はお弟子さんの江村様夫婦が所有していて、大地の芸術祭に初提供をしていただいた。
展示されたのは抽象表現の日本画。
飛騨高山の高島家住宅のようにマッチしていた。
K089 「捨てられたもの」
作品は、マルセル・デュシャン『泉』のチャイナバージョン。
ゴミから型を起こし景徳鎮の窯で焼き、コンテナで現場に持ち込み並べられた。
その数量はなんと10トン。千手地区の住民が汗をかいて手伝った作品です。
景徳鎮というストーリー性と膨大な手間が関わって作品の厚みをつくりだしている。想像以上に現地では迫力がある。 消費社会への批判がテーマで明快だ。
期間中の毎日、「千手地区協力会」のじい様ばあ様が、お茶とお菓子でおもてなしをしてくれていた。私も千手神社の本殿で枝豆を頂いて、リーダーらしきじい様とアート談義。
じい様
「大地の芸術祭の(現代アート)は昔っからのアート(具象的な絵画や彫刻)を超えたところにあるんかい?」
相模
「超えたというより別のものですな。」 その場性とコンセプトについて話をする。
作品展示されている場所にはかつて相撲場が存在し、奉納の取り組みがされていた。
ローマのコロッセオのように、円形に段々で鑑賞し、最大4千人が見ることができたという。川西の黄金時代だろう。時代は移り民力は枯れ、相撲場も閉鎖され、土俵を囲っていた屋根もはずされ、現在は草原となってる。
しかし、ここには地勢的な記憶と、情操的な記憶のしみ込んだ濃厚な地霊(ゲニウスロキ)を感じる場所だ。
【総評】
チャイニーズ不思議の国のアリスの「森の夢」でもそうであったが、中国人は風水の影響だろうが、場の力をうまく利用して作品性を増すのがうまい。
今回はチャイニーズパワーの圧勝で、メイン会場のキナーレのセンターに蓬莱山をつくったのも中国人作家で象徴される。
アート界においてはチャイナシフトを世界に印象付けたように感じた。
それと対照に、農舞台の作品展示に代表されるように日本人の作品の近視眼ぶりが印象的だ。日本人作家にがんばっては欲しいが、アートは文明の肥えたところで育つ物のようだ。
日本人作家でのMVPは、十日町の廃業した酒屋をコインランドリーに改造した作品番号T314の「憶測の成立」は 大いに口コミの話題を集めた。 それと、モグラ君でしょう。
アートは気合と根気が必要だと感心させられました。
こへび隊のみなさま、50日間お疲れ様でした。 ありがとう。
また 3年後 2018年に 妻有で会おう!