2026年5月15日、全国農業団体職員労働組合連絡協議会(全国農団労)主催の「ジェンダー平等に関するセミナー」が、名古屋市のAP名古屋において開催された。加盟組織より労組役員ら74人が参加し、女性活躍推進や職場環境改善、労働組合活動におけるジェンダー平等の課題について学習と交流を深めた。
セミナーでは、JA常陸常務理事の小林美雪氏【写真】が「女性も活躍するJA」をテーマに基調講演を行った。講演では、JA常陸における女性管理職登用の取り組みや、女性職員が働きやすい組織づくり、育児休業制度の活用、職場風土改革などについて報告された。資料では、女性管理職比率の向上や、女性職員が能力を発揮できる環境整備の重要性が示され、「女性だけでなく男性も活躍できる組織づくり」が強調された。
講演後のグループワークでは、各単組・各農協の実情や課題について活発な意見交換が行われた。 女性管理職のロールモデル不足や、組合会議が平日夜開催となることで女性が参加しづらい問題も共有された。これに対し、「ウェブ会議の活用」「家庭からのオンライン参加」「意見提出方式の導入」など、参加しやすい環境づくりの工夫も紹介された。
また、「女性だけがトイレ掃除やお茶出しを担う慣行」「男性のみが早朝業務や重量物運搬を担当する固定化」など、職場に残る性別役割分担についても議論が交わされた。福島からは、女性職員がフォークリフト運転や休日当番に参加することで業務負担の平準化が進んでいる事例も紹介され、「できることを区別するのではなく、誰でも担えるようにする視点が必要」との意見が出された。
各グループの発表では、「女性管理職や女性労組役員は増えてきているが、依然として少数であり、意見反映が十分ではない」「家事・育児負担が女性に偏り、仕事や組合活動への参加を難しくしている」といった共通課題が報告された。さらに、「男性の育休取得促進」「オフサイトミーティングの活用」「若手職員への支援体制強化」「職場風土改革」など、今後の具体的な取り組み方向も提起された。
一方で、女性が管理職やLA(ライフアドバイザー)業務を担う際の負担感や、慢性的な人員不足による長時間労働、育休取得時の代替要員確保の難しさなど、構造的課題も浮き彫りとなった。発表では、「ジェンダー平等は単なる女性活躍ではなく、人員体制や労働条件改善とも一体で進める必要がある」との認識が共有された。
今回のセミナーでは、全国各地の経験交流を通じて、ジェンダー平等を「女性だけの課題」ではなく、誰もが働き続けられる職場づくりの問題として捉える重要性が確認された。全国農団労は今後も、労働組合活動を通じて、誰もが安心して働ける職場環境の実現に向けた取り組みを強化していくとしている。




