さよなら原発徳島実行委員会第13回総会・記念講演 | 専従日誌

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2024年3月10日、さよなら原発徳島実行委員会は、第13回総会・記念講演をあわぎんホールで開催しました。


徳島人権・平和運動センターの岩生大治さんの司会により開会し、議長には徳島労連の山本正美さんが選出されました。

 


実行委員会の藤永知子代表はあいさつで、能登半島地震で原発事故時の避難計画が破綻していた問題に触れ、「伊方原発に置き換えると、佐田岬半島の人々は原発事故が起こっても逃げ場がない」「自然災害の多い日本で原発は無理だ」と、あらためて原発事故による二次災害の危険性に警鐘を鳴らしました。

 


議案の提案では、一年間の取り組み報告や会計報告、関係監査報告、2024年度の活動方針、役員体制等に関する提起が行われました。総会の終りには、すべての原発停止と廃炉を求め、再生可能エネルギーの普及拡大と最大限の活用に向けた取り組みを進める総会アピール案が吉川雅雄幹事により読み上げられ、拍手多数で採択されました。

 


記念講演では、FoE Japan(フレンズ・オブ・ジ・アース・ジャパン)事務局長の満田夏花(みつた かんな)さんより、(1)能登半島地震の警告(2)GX(グリーントランスフォーメーション)の名のもとに進む原発回帰の非合理性(3)終わらない原子力災害と「見えない化」される被害(4)ALPS処理汚染水-置き去りにされた論点の4つのテーマに基づき、詳細な話を伺いました。
 能登半島地震では志賀原発が停止中だったため大事故には至りませんでしたが、1号機では震度5強の揺れや3メートルの津波が観測され、使用済み核燃料プールの水が飛散したり、変圧器の損傷、約2万リットルの油漏れ、外部電源の一部が使用できなくなるなど、多くのトラブルが発生しました。さらに、道路の寸断や住宅倒壊、地盤の隆起、集落の孤立などライフラインが絶たれるなど、自治体の避難計画が災害時に役に立たないことが露呈しました。これらの背景には、地震への過小評価があり、再度見直す必要があります。


能登半島の珠洲市には珠洲原発の建設計画がありましたが、2003年に住民の粘り強い反対運動で中止に追い込まれました。もし、計画通りに原発が建設され、稼働していたら大惨事に繋がっていた可能性が高かったと思われます。

 


満田さんは、岸田政権の原発回帰についても「原発は安定していると言われるがトラブル続きで不安定な電源」と批判し、核のゴミ問題や最終処分場の問題についても問題点を指摘しました。そして、老朽化原発の危険性や、国際的にも斜陽産業である原発の「発電量3倍は幻想」であることの根拠についても詳しく触れました。また、福島原発事故が収束していないなか、未だに多くの人々が避難生活を余儀なくされており、生業を奪われ、家族、地域、社会との分断や孤立に苦しんでいますが、国と東電の責任は曖昧にされたままになっています。ALPS処理汚染水についてもトリチウム以外の放射性物質が基準値を超えて残留していることが明らかになっていて、何をどれだけ海洋放出するのかも不明です。

 


満田さんの講演は、多くのデータに基づいた科学的根拠と現場や海外の実態を踏まえた分かりやすい内容となっていて、聞く人の心を惹きつけました。参加者は約80名でした。