
8月5日、広島市アステールプラザにて「全国農団労2014反核・平和学習会」が開催され30余名が参加した。開会挨拶で広島県農協労連の小川清幸書記長は、「明日8月6日は、69年前に広島に原爆が投下された日だ。瞬時にして14~15万人が一つの原子爆弾によって亡くなった。原爆の後遺症は未だに残っている。原爆症で苦しんでいる方、結婚したくても結婚できない人も大勢いる。放射能の影響は広島、長崎、福島で大きな問題になっている」と述べた。次に、全国農団労の小川宏書記長より全国農団労方針(方針5・地球と地域の環境を守り、原発に依存しない社会を目指す)(方針6・核兵器を廃絶し、平和な社会を目指す)に関する説明が行われた。小川書記長は、「原発推進派は原発は温室効果ガスを排出しないので気候変動に対して有効だと言うが、温室効果ガス排出量は東日本大震災以降さほど増えていない」、「貿易収支改善のために原発再稼働が必要という議論があるが、原油の輸入量は2010年より低下している。金額は増えているが、価格高騰と円安が要因であり原発は関係ない」、「政府は今年4月にエネルギー基本計画を閣議決定し、原発をベースロード電源にすると言っているが、世界的な潮流はドイツが原発から再生可能エネルギーに舵を切った。イタリアは国民投票で90%以上が脱原発を求めた」、「日米同盟関係は片務的から双務的に変わろうとしている。ホジャラスは世界一殺人の多い国だ。何故、そうなったのかというと米国がテコ入れして親米政権が出来たからだ」と情勢等について説明を行った上で、「TPPや農業問題と原子力発電所の再稼働、集団的自衛権とリンクした核武装に結び付く動きは同根だ」、「運動方針にも掲げている『協同組合の総合性を前面に出して市場原理主義に反対していこう』というのは、核兵器反対、脱原発にも繋がっている」、「核の平和利用はあり得ない。原発も核兵器も人類とは共存できないということを再確認してほしい」と訴えた。

続いて、元岩国市長で市民政党「草の根」代表の井原勝介さんより「今、問われているもの」というテーマで講演を受けた。井原さんは労働省(現厚生労働省)に勤めていたが、役所の体質に嫌気がさし、政治家になることを決意。市長時代は、政治に住民の意思を反映させるために住民投票条例を行うなど市民目線の政治を貫いた。岩国市には米軍の岩国基地があり、基地拡張をはじめ様々な問題が起こっている。最近ではKC-130空中給油機15機が普天間基地から移駐するなど、沖縄の負担軽減が岩国の負担増大に繋がっている。「騒音・安全対策のための基地拡張と思っていたが、拡張したら艦載機60機の受け入れを求めてくるなど、騙された。最初から仕組まれていた」、「当時の市長や議員もそれを承知していた。何千億円もの公共工事のため安全安心を隠れ蓑にして工事を進めていった」、「知らなくて騙されたのは市民だけだった」、「極東一の航空機基地になるということで、2006年3月に住民投票を実施した」、「9割が反対の意思を示したが国は全く無視だ」と金と力で市民を分断する国のやり方を批判した。また、「住民投票には法的な義務はないが、国はその結果と向き合わなければならない」と民主主義を無視する国の姿勢を問題視した。愛宕山は5000人分の大規模住宅開発事業が行われていたが、空母艦載機移駐に伴う米軍住宅建設のため、事業はいきなり廃止となり、国土交通省の事業認可も取り消され、突然防衛省に売られてしまった。「大規模な住宅開発をするということで10年間かけて、税金をつぎ込んで土地を買って、山を崩したと思ったらそこが米軍住宅になるなんて、こんな馬鹿なことはあり得ない」、「都市計画法、住宅開発法にも違反する。法治国家とは思えない」、「選挙で政治家を選ぶことは大切なことだ。そこで間違った選び方をしていると権力を握った人たちは暴走し始めて、手に負えなくなる」など政治の実態を語った。また、TPPについても、「安倍首相は『聖域なき関税撤廃を前提とする限り交渉には参加せず』と言ったが参加した。たしかに関税撤廃は前提でないかも知れないが大目標であることは分かっていた。これは安倍さんのごまかしだ」と述べ、集団的自衛権については、「個別的自衛権と集団的自衛権の話は全然違う話なのに、安倍さん達が『尖閣が大変だから、朝鮮半島が大変だから日本を防衛するためには集団的自衛権が必要なんだ』と自分で緊張を高めておいて、それを利用して進めようとしているからそういう言い方になって、それを多くの人が誤解してしまう。もっと大きなごまかしは『限定的な行使だからいいんだ』と言っていることだ。武力行使の3要件がものすごく大きな誤魔化しに使われている。安倍さんは、『これをもってペルシャ湾の機雷掃海に出かけることが出来る』と言っているが3要件には該当しない」、「それよりも何よりも一解釈で憲法の考え方を変えて集団的自衛権を行使することは許せない。立憲主義というルールを自ら壊すものであり総理大臣と言えども許されないものだ」と語気を強めた。集団的自衛権の閣議決定は憲法違反だとして松阪市長らが訴訟準備を進めているが、司法の大きな壁があり、「国民に具体的な被害を与えていないと」され、門前払いになる可能性が高いという。原発についても「国民の多くは将来的には原発のない世の中にしたいというのが多くの意志だろう。でもそれは政治には全く届かず、安倍さんは相変わらずどんどん進めようとしている」と民主主義を無視した政権運営を批判した。井原さん自身も現在、集団的自衛権をテーマにして広く市民が立場を超えて運動を起こすための準備を進めているところで、「安倍さんの地元、山口県から声を出すことでインパクトがあるのではないか。このままでは、日本の民主主義は失われてしまうという」と危機感を露わにした。最後に、「そういう政治のやり方がTPPとか農業政策とかに繋がっている。政治が本当に国民や農業者の事をしっかり考えて政治をすることになってくれないと決して日本の農業政策は上手くいかないだろう」、「政治が民主主義の体裁をとっているだけで、本物の民主主義政治にはなっていない。すべての分野でそれが明らかになりつつある。我々の力で変えていかなければならないという意識を持っていただきたい」と呼びかけた。


終了後は、広島市文化交流会館に移動し「連合2014平和ヒロシマ集会」に参加した。連合の古賀伸明会長による主催者代表あいさつや、国際労働組合総連合(ITUC)のヤープ・ヴィーネン書記長代行の海外来賓挨拶を受けたあと、平和の語り部・被爆体験証言では、広島県原爆被害者団体協議会の坪井直理事長より自身の被爆体験が語られた。坪井さんは89歳になった現在も毎日公務に専念しており、原爆投下後の広島市内が写された写真を解説しながら当時の壮絶な様子を語った。
