少し前にテレビの旅行系番組でオーストラリアの特集をやっていて、現地の観光名所、レストランやホテルなどが紹介されていました。私は1990年代の大半をこの国で過ごしました。懐かしい気持ちでその番組を観ていました。美しい風景や現地のフレンドリーな人たちの姿などは当時とあまり変わってないなあって感じだったのですが、紹介されるあらゆるサービスやモノの値段が随分高くて、ただただ驚きました。クロワッサンが1個700円とかコカコーラや水が一本300円、カフェに入って簡単なサンドイッチとコーヒーを注文したら2500~3000円とか。2000年のオリンピック前から家賃や家の値段が毎年上がってはいたのですが、それでも、バブル崩壊以降、ずっと停滞していた同時期の日本よりもまだ安いくらいかななんて思ってました。しかし、いまや両国の物価は逆転してしまったようです。

 

今回の大寒波ニュースを心配してくれた現地の友人から久しぶりに連絡があったので、簡単な近況報告がてら、そっちの物価って本当にそんなに高くなってるの?と、番組で紹介されていた物価のことを尋ねてみました。その友人(在豪歴多分30年くらい)によると、全くその通りなんだとか。呆れるくらい今も値上がりを続けてるよ、と。特に外食費が高くて、先日はタピオカティーを2つ買ったら20ドル(1600円)だったって。

 

私たちがシドニーで知り合った当時、財布に20ドル入ってたら一週間やっていけるね、って話してたのを思い出すと言ってたのですが、確かに当時はそんなものでした。節約したら一週間の食費は20ドル程度でいけた時代でした。それがいまやタピオカティーを2本買ったらその金額が飛んでいってしまうのか。現地でもお鮨が人気なんですが、回転寿司は一枚450~600円するのでめったにいけないそうです。物価が上がっているなら稼ぐほうも増えてるのでしょうか。これは日本と違って、サラリーも高くて、大卒初任給が職種によって700万~。1000万超えも珍しくないそう。でもそれ以上に不動産価格が高騰しているので家が買えないと。

 

現地で生活している分には一般庶民の「大変度」は変わらなさそうだけど、日本に旅行で来たら相対的な物価の安さは衝撃なんでしょうね。ニセコの地価が爆上りとか国内の高級ホテルに外国人ばかりとか聞きますが円安も手伝って割安感はんぱなさそうです。バブルの頃に日本人が他国にいって「安い、安い」と連発してブランドものを買いあさっていた構図がそのまま逆転していま日本で起こっているような感じなのかも。

 

そういえば少し前に関西の友人たちと話をしてて、彼女たちが近々出かける外国人アーティストのライブの話になりました。今度スティングが来日するそうですがS席のチケットが2万5千円!えー、そんなにするの。私もシドニーにいたころにスティングのライブに行ったことがありました。当時、チケットは日本円で5~6千円くらい。それも、これは単に運がよかっただけでしたが前から2列目の席でした。今、東京のライブに行くとしたら新幹線代やホテル代も追加されて、とても「じゃあ、久々に行ってみようかな」なんて言えないですね。

 

もし90年代以降の日本もインフレ率が健全といわれる1.5%~2%くらいあって、経済成長率やサラリーの増加もそれに見合うくらいで続いていたら、この金額がそれほど驚くことではなかったのではと思います。日本の大卒初任給だって40万円くらいになっていたはず。まあ本当にいろんな場面で日本が世界からおいていかれている感をひしひしと感じた最近のことでした。