杉原さんは、大手ゼネコン主催のゴルフコンペにも参加した。


いつも県外で行われたので土日に私も一緒について行った。


明け方出発で私が遠足みたいにお弁当を作り車の中で食べながら行った。


杉原さんがゴルフをしている間、私は観光や買い物。

一泊して二人でゴルフしてから帰ったり、たまたま近くで開催されていたプロゴルフトーナメント観戦したりした。


杉原さんが出場したゴルフ大会の全国大会にも同行し、練習ラウンドを一緒させてもらった。


そういえば、私が女子プロゴルファーの宮里藍プロのファンだったので、わざわざ宮里藍プロが出場したトーナメントにも連れて行ってくれた。


本当に楽しかった。


色々な所に行った。


杉原さんには、私以外の女の影が全くなかった。


ゴルフの後や仕事のお付き合いで飲んでいた時も、最後には必ず私に迎えに来させて、いつも待ち合わせたスナックで少し過ごし、自宅まで送らせたり一緒に泊まったりした。

そのスナックのママは「杉原さんってさぁちゃんを凄く信頼して…本当に好きなんだね。さぁちゃんに電話してからまだかな?まだかな?って言うの。それにいつも手をつないでるでしょう?カウンターで見えないって思うかも知れないけどわかってたよ」と笑って私に言った。


「あはは、見えてた?杉原さんは本当にどうしようもない子供みたいな所があるよね?年も15歳離れているの。私が18歳の時に知り合ったからお互い若かったけど…杉原さん、お酒も弱くなって来て、なのにこんなに飲んで…身体を壊さないか心配なの」と酔って眠ってしまった杉原さんを見ながらママと話をした。

「きっと、さぁちゃんが迎えに来てくれたのを確認して、安心して寝てしまわれたんだね。誰にもこんな姿を見せないと思うよ」


「起こして家まで送って行かなきゃ」と私は杉原さんに「帰りますよ。起きれますか?」と声を掛けた。


「さぁ、迎えに来てくれたのか?一緒に帰ろう」と何とか立ち上がった杉原さん。


杉原さんの自宅に向かう車中で「さぁ、いつもごめんね。愛してるよ」と言った。


愛してるよ。


初めてその言葉を杉原さんから聞いたような気がした。


「素面の時に言ってね」と私は笑った。


堂々と杉原さんの自宅前に車を停め(杉原さんの指示)、お酒臭い杉原さんからキスされて私は自分の家に帰った。



その頃から何故か杉原さんと私は最低でも週に二回は逢うようになっていた。


私の勤める会社と杉原さんの会社は車で5分弱しか離れていなかった事もあり、時にはランチタイムも一緒だった。


土日もゴルフが多い杉原さんだったが、土曜日の夜はほとんど一緒に過ごした。ゴルフの予定がなかった日曜日は私をゴルフに連れて行ってくれた。


週末を一緒に過ごすのは当り前になり、時には一泊した。


以前とは違い、恋人同士そのもの。


杉原さんの弟の信さんや営業所の所長さん等とも一緒にゴルフをした。


杉原さんが出張で県外にいる時は、私が何時間かかけてJRで出張先まで行った事も何度かあった。


杉原さんも仕事柄パソコンを始めなければならなくなって、手取り足取り一から私が教えた。

メールで得意先のゼネコンから色んな書類が送られて来る。
CADの図面もある。
私はCADの知識もあったので楽勝。


図面の中身は杉原さんの世界。


メールの送受信、文書や工程表作成等も何度も何度も教えた。


50歳位の杉原さんが一からパソコン操作を覚えるとは大変だったと思う。

仕事中でも携帯に電話して来て色々質問された。


私が仕事を終えてから杉原さんの会社に何度も寄った。


杉原さんの会社でパソコンを教えている最中、突然応接室に引っ張られセックスした事もあった。


携帯電話のメールの仕方まで教えた。


本当にラブラブだった。


入社一日目、私は右も左もわからなくてパニック。


ずっとコンピュータ室でパソコンをいじっていた。


周りを見ると、日本語ワープロで書類を作っている人が三人もいた。
しかもスピードがめちゃくちゃ遅い。


代わりにやりましょうか?と言いたいほど。


何とか一日目を終え杉原さんに電話した。


「右も左もわからなくてパニックだったの。放置されてるし。何かね、私は社長の息子がしていた仕事と、コンピュータシステム管理をするみたい。でもね、何もかもが古いの。驚いてしまった。気ばかり張って疲れちゃった」


杉原さんは笑った。


「そうか、社長の息子の代わりとはずいぶん見込まれたな。頑張れ。うちの会社だって全てが古いぞ。でも少しずつ新しく変わる時、おまえの力が発揮されるって事だよ」


杉原さんと話をして、私はようやく張り詰めていた気持ちが落ち着いた。


その後、用事があって美和子の家に行った。


美和子と子供達は「うわぁ、かっこいい」とスーツ姿の私を見て言った。
初日だったのでスーツで出社したのだった。