就職が決まった事を杉原さんに報告。
「おぉ、その会社の社長なら知り合いだぞ」


そうだったんだ。


「本当は、うちの会社に来て欲しかったんだけど、そんなわけにもいかないだろ?」


「そうだね、私は高給じゃないと行かないし(笑)仕事の意見の食い違いでケンカしそう。ゴルフとかで遊んでばかりで仕事しない専務さんに腹がたつだろうし」と私は言った。


「自慢じゃないけど余り事務員さんの給料は高くないよ。おまえは真面目だから俺に平気で意見するだろうな」


「でも、もし本当に私が必要なら、私は杉原さんの会社に行くよ」


「そうか、そういう時があるかもな。その時はよろしく(笑)」


入社の日まで、私はアルバイトを続けた。
杉原さんともたまに逢っていた。





再び同じ人と不倫に陥った私。


奥さんがおられる事も、女グセの悪さも全て承知の上だ。


杉原さんは仕事が忙しく県外に行ったり来たり。
思うほど逢えなかった。


鳴らない携帯電話。


逢いたい…


電話しようか…


「いつでも電話して来ていいよ」と言われていてもなかなか私からはかけれなかった。


やっぱり二人っきりで逢わなければ良かった。またこんなに辛い思いをするなら…
過去の思い出として留めておけばよかった…


割り切って付き合えるほど私は心のない女じゃない。


逢いたいから逢う。好きだから逢いたい。打算も何もない。私はやっぱり杉原さんじゃなきゃダメ。


「さっき帰って来たよ。夜出れる?」突然連絡が来る。


珠里を実家に頼んで私は杉原さんに逢いに出掛けた。一応は「子供は大丈夫か?」と気に掛けてはくれる。


食事してセックスして別れる。


「出張からもどったら連絡するよ。ゴルフでも行こうか」と言ってくれた。


その日を楽しみに指折り数えるバカな私がいた。



パソコン学校も終わり、いくつかの資格も取得して私の就職活動が始まった。


なかなか私が希望する条件の会社がない。


いいと思えば遠かったり、お給料が希望額より少なかったり、年齢的なことがあったり、なかなか仕事が決まらない。


でも、私には珠里という扶養家族がいる。妥協は出来ない。


知り合いのレストランでアルバイトをしながら私は仕事を探していた。


ゴルフ知人の紹介で現在も勤めている会社で面接をしてもらう事になった。


社長も出席の面接。地元ではかなり大きい会社。


社長以下4人と私。
しかも応接室で。

お給料の希望を聞かれた。私は前の会社の時のお給料の額を言った。


「うちはそこまで出せません」と他の女子社員の平均額を言われた。


「それでは私は生活が成り立たないので、今回の件は残念ですが…」と言って会社を出た。


自宅に戻り一時間ほどしたら電話があった。
「社長がもう一度あなたと話をしたいと言っていますので、今晩時間をつくってもらえませんか」と言われた。


私は素直に「わかりました」と社長と話をしに行った。

「あなたに我が社に来てもらいたい。でも給料が折り合わない訳だ。どうしたらあなたに希望に近い給料が払えるか考えてみた」と切り出された。


社長は私に期待してくれている。この会社で頑張ってみようか…と思った。


実際に入社してみたら、日本語ワープロで見積書等の書類を作っている人達。


何て遅れている。私は驚いた。



再度不倫に陥った私。

しかも同じ相手。

親友の真由美に杉原さんと再会した事を話した。


「さぁがやっぱり私はこの人じゃなきゃダメって思う気持ちはわからないでもないけど、杉原さんとじゃまた泣くんじやないの?」真由美は言った。


「うん、再会した時はドキドキはしたけどまた関係を持つとは思ってなかったんだよね。今は仕事で県外に行ったり来たりしてるみたいだけど、またそういう関係になってしまったら逢いたくなる。私にとって杉原さんの何処がそんなにいいんだろう」と私は言った。


携帯電話に杉原さんからの着信は余りなかった。


淋しかった。


前と違って自由に電話出来るのに私からはかけれなかった。


「杉原さん、何してるの?逢いたいよ」この言葉が言えなかった。