もし、あの時私が真由美を止めていなかったらどうなっていただろうか…


私もすぐ真由美を追っかけて同様に美和子の顔をひっぱたいていただろうか…


そしたら杉原さんはどうしただろうか…


美和子はどう反応しただろうか…


修羅場だ。


でも、それでどうなるの?

何故私は、あんな男もういらないって思わなかったのだろう。


美和子に対する意地?


それでも杉原さんを愛していた?


何だろう。


私も時間差で練習場に行こうかとは思ったが、警戒しておそらく場所を変えると思ったので行動には移さなかった。


私は夜、高校時代からの親友の真由美と食事の約束もしていたし、珠里を迎えに行く約束もしていた。


久しぶりに真由美に会った。真由美は、私の家に来ていた時にその後にやって来た美和子と面識があった。真由美は美和子が好きではなかった。「何だか変わってる人。さぁが仲良く出来るなんて思えないタイプ」と言っていた。


市内で一番おいしいと思う焼肉屋に行った。
そこは杉原さんとも何度も行っていた。


市外に嫁いだ真由美は自分の実家に泊まるから飲む気満々。私は車で真由美を迎えに行き、焼肉屋の駐車場に入った。


???


杉原さんの車が停まっている。そして、すぐ傍に美和子の車も。


「真由美、ごめん…この店に入れない…」涙ぐんで言う私。


「さぁ、どうしたの?何があったの?」


車の中で、私は真由美に簡単に今までの話をした。


真由美は怒った。


「そんな事平気で出来るような女だよ。あの女。だいたい杉原さんも杉原さんだよ。おかしいよ。店に入ろうよ。わざと入ろうよ」


と、真由美が言った直後、杉原さんと美和子が焼肉屋から出て来た。


真由美は「私、あの女の顔をひっぱたいて来る!」と車から降りようとした。


「やめてっ!お願いっ!」私は真由美の腕をつかんだ。

同じ駐車場内に私の車が停まっているのに杉原さんと美和子は全く気付いていなかった。二人の車は別々の方向に走り去った。


「どうして止めたの?あの女、許せない」真由美は言った。


「ごめん。怖かった」私は答えた。


場所を変え、私と真由美は食事した。


食事しながら話をした内容は月並みな世間話ではなく終始杉原さんの事だった。


《たくさんのアクセスをありがとうございます。皆さんがもし私の立場だったらどうなさいますか?》



杉原さんからの連絡が少なくなった。


ある土曜日の午前中に杉原さんから電話があった。



「おまえとの事が女房にバレてしまって…しかもおまえと一緒にいる所を娘に見られたらしく、しばらく逢えないよ」土曜日の朝に杉原さんから電話があった。


完璧に嘘だ。


奥さんに知られたからって私としばらく逢えないなんて、普通の人みたいな考えをする人ではない。


「急にどうしたの?それが原因じゃないんじゃないの?それにしばらくってどれ位?」と私は言った。


杉原さんは私との関係を終わらせるつもりはない。
ただ、美和子との関係はそう長続きしないと思ったのであろう。
私はキープの立場に成り下がったみたいだ。


話の成り行きで午後にお茶する事になった。
今までだったらランチから始まったはずだけど。


はっきり美和子の事を聞こうと思った。


杉原さんと喫茶店で待ち合わせた。
最初は世間話とか仕事の話をしていた。


杉原さんが時間を気にしていたので私は聞いた。


「さっきから時計ばかり見てるけど、どうしたの?」

「うん、ちょっと約束があって。練習場に行かなきゃならない」


「練習場に行くの?私も行こうかな」


「ダメだ。おまえは来るな」


「どうして?」


「とにかくダメだ」


「美和子と約束しているからでしょ?」


杉原さんの顔色が変わった。返事はなかった。


「美和子と時々会っているよね?長野から戻った時にああいう節操のない女は嫌いだ、電話があっても出ないって言わなかった?」


「確かに彼女から電話があったよ。彼女の事を誤解してたし、色々相談にのっているだけだよ」
明らかに嘘をついている顔だった。


「私には、悪いけど、聞きたくない情報を耳に入れてくれる人がたくさんいるのよ。長野のホテルで私に土下座までして謝ってくれたの誰?」


都合が悪くなった杉原さんは「また連絡するよ」と逃げるように帰って行った。