今度こそ…



私は杉原さんなしでも生きていけるはず。


メールが来ても無視。
電話が来ても出ない。
私は貫き通した。


噂で杉原さんが美和子じゃない女性と付き合っていると聞いた。
地元のゴルフ場のキャディとか。
どんな人か顔が浮かんだ。私より年上でわりと綺麗なひと。
じゃあ、またW不倫じゃない。


でも美和子はどうしたの?
それに私にも電話して来ている。


杉原さんは誰でもよくなったの?同時進行?



わからなかった。



そういえば、前に私が美和子の事で杉原さんに文句を言った時に「残り少ない人生、明るく楽しく生きたい」って言ったような…

まさしくそれ?
入院して、病気かもしれない恐怖を経験して、余計にそう思うようになったの?



だめ、だめ。


もうどうでもいいじゃない。


杉原さんの事はもう…


考えないようにしよう。







検査入院だったからか杉原さんはしょっちゅう外出してゴルフに行っていた。


「なぜ、わずか一ヶ月位辛抱出来ないの!子供じゃあるまいし。退院したらどれだけでも行けるでしょ?」と私は怒った。


「何か治療がある訳でもないし、薬くらいでさ…後は寝てるだけだよ?外出しないと頭がおかしくなるよ」と杉原さんが言った。


確かにそうかも知れない。特に杉原さんは、じっとしている事が苦手だし。


でも何事にもルールがあるはず。病院には病院でのルール。ゴルフにもルールやマナーがある。人間関係にも…


私は呆れていた。
この人はどんどんおかしくなって来ている。


それでも、杉原さんから呼ばれて何度も病院に行った。


一度、私がいる時に杉原さんのご両親が来られた。

私が18歳の時に就職し、杉原さんと出会った会社にお父様も来られた事があったがさすがに覚えてはいらっしゃらないだろう。

私は先に病室を出たが、杉原さんは私の事を何と説明したのかな…と気にはなった。


検査を重ねて杉原さんは退院した。半年後にもう一度検査するという。


とりあえずは安心した。


「さぁ、色々とありがとう。迷惑掛けたな。もし、今後さぁが入院する事があったら俺が面倒みるからな」と杉原さんは言ったが、私は「縁起の悪い事を言わないで。それに、もし入院しても杉原さんには連絡しませんから、どうせ来ないと思うし」と答えた。



私はわからなかった。自分でどうしたいのか…


杉原さんをこれから信頼し尊敬して付いて行けるか?


答えはNO。


いつもどこかで疑っている自分がいるはず。


前みたいに、心から幸せって思ったり楽しいって思ったりは出来ないはず。



答えはひとつ。



今度こそ杉原さんから離れよう…


今度こそ…


そして杉原さんがビックリする程もっといい女になる。







「放っておけばいいのに!また裏切られて泣くのは誰?」


親友の真由美に言われた。


「さぁ…もし、杉原さんとこれからも付き合って行くつもりなら、奥さんの事とかあの女の事とか全部覚悟しないとダメだよ。怒ったり泣いたり出来ないよ。理解のある都合のいい女にならなきゃいけないよ。それでもいいの?」


「よくないよ…」


「でしょう?さぁはそんなに安い人じゃないでしょ?はっきり言うよ。杉原さんは男として最低。困った時だけ連絡してきて、おいしい所はあの女?最悪じゃない。すぐ飽きるって思っていたけど結構続いているじゃない?最低な人達は無視して前を向こうよ」


真由美の言っている事は正しい。


私はどうしたいの?


それでも杉原さんじゃなきゃダメなの?


「さぁには絶対にもっとふさわしい人が現れる」


「そうだよね…」


杉原さんのどこがそんなに魅力なのか。


それとも私は美和子に対して意地張っているだけなの?


美和子が旦那さんに「さぁに勝ちたかった」と言ったらしいけど、今度は私が美和子に負けたくないの?


これほどまでに振り回されても私は決断出来なかった。まだ揺らいでいた。