それから時々っていうかよくメールが杉原さんから届くようになった。


私がショートメールで送ったからショートメールで杉原さんも送ってくる。


入力出来る文字数も少ないが支障はなかった。



「食事に行きませんか?」


「忙しくて無理です」


こんな感じ。



電話もよくかかって来た。


5回に1回くらい出た。



「一緒に食事に行こう。話もしたいし」


「仕事が終わるのが遅くなりそうだから今日はダメですね」



何日間はこんなやりとりが続いた。



日曜日に
「今日はどうだ?」と電話があった。


「除雪したら疲れて死にそう」と答えた。


「死なないように、さぁの食べたい物を食べに行こう。何が食べたい?」


「そうだね、しゃぶしゃぶかな」


「それじゃあ、しゃぶしゃぶ食べに行こう。後、エクセル教えて欲しいんだ」


「社長さんは、事務員さんや営業さんにやってもらって提出期限を決めてデータでもらえば?」


「自分でやりたい事もあるんだよ。さぁのおかげで俺はパソコンを扱えるようになって今でも感謝しているし、エクセルも教えて欲しいんだ。食事しながら話を聞いてくれないか?」


「考えてみますが、今日はダメですね」



私は、相変わらず淡々と返事をしていた。



それでも杉原さんは、あきらめないで電話やメールをしてきた。










デパートから帰ってから携帯電話を見たら、杉原さんからの着信が3件もあった。


この様子じゃまた電話があると予想され、私はメールを送ることにした。


でも、携帯電話の電話帳から杉原さんのデータは削除していてアドレスがわからなかった。


美和子が杉原さんのメールアドレスを自分と杉原さんの名前の一部を入れたアドレスに変えてしまった時から何年か過ぎているし、もしかしたらまたアドレスが変わっているかも知れないと思い、ショートメールで送ることにした。


「デパートで買い物して帰って来ました。疲れたのでお昼寝します」


送ってから10分後くらいにまた杉原さんから電話があった。


本当に横になっていた私は電話には出なかった。



何でまた連絡して来るの?



お願いだから私の心を乱すのはもう止めて…





私のブログもかなりリアルタイムになって来ました。



大輔をしばらく放置しておこうと思った私。



そんな私を見透かしているかのように、お正月に一本の電話があった。



私の携帯電話の電話帳からは削除したナンバー…


でも、絶対に忘れる事が出来ないナンバーが表示された。



杉原さんからだった。



今まで着信があっても無視し続けていたが私は電話に出た。



「あけましておめでとう。元気にしていたか?」


久しぶりに聞く杉原さんの声だ。


「おめでとうございます。お元気そうですね。お久しぶりです」


「さぁの声が聞きたかったよ。元気で頑張っているんだろう?」


「まあまあです。杉原さんのお噂は耳に入っては来てました。社長に就任されたそうですね?」


「そうなんだ。社長なんてやるものじゃないよ」


「ですね。会社と社員とその家族を背負うわけですから」


「さぁ、何度も電話したんだぞ」


「はい。わかっていました」


「わかっていて出てくれなかったのか?」


「はい」


「じゃあ、何で今は出てくれたんだ?」


「お正月なんで特別サービスです」


「特別サービスか…さぁ、俺、おまえに逢いたい」


「それは、特別サービスには入っていませんので悪しからず」


「今度食事でもしないか?」


「機会があれば…」


「いつがいい?おまえに合わせるから。話もあるし」


「私も忙しいので予定なんてわかりません。機会があればということで」


「そうか、でも今日はまだ休みだろう?今日はどうだ?」


「私は今は娘の所に滞在していて自宅にはいません」


「今からそっちに向おうか?」


「私は今からデパートで買い物をしたいので無理ですね」


「そうか…じゃあまた電話するから逢ってくれよ」


「まぁ、考えてみます」



こんなやりとりだった。



色々話をして来る杉原さんに私は淡々と返事をしていた。


その後、私はデパートに行き仕事のお客様のお年始の為のお菓子を選んでいた。


デパートでお菓子を選んでいる最中にも杉原さんから電話が入っていた。


気付いていたが出なかった。


その時は杉原さんに逢うつもりは全くなかった。