皆さんは、労働時間の定義を知っているでしょうか?

 

労働基準法では、労働時間とは休憩時間を除いた実労働時間のことで、労働者が使用者の指揮命令下にある時間と規定されています。

 

労働時間は、就業規則や労働契約などで定められるのではなく、労働者が使用者の指揮命令下に置かれているかどうかで判断されます。

 

例えば、会社の中には昼の休憩時間に全員が昼食に行って誰もいなくならないように、誰か一人が残って電話当番や来客当番をすることがあると思います。このために待機している時間は、労働基準法では労働時間として扱われます。

 

また、工場勤務の労働者が、作業服の着用を義務付けられており、作業服の装着を事業所内の更衣室等で行うようになっていた場合、更衣室から作業場所までの移動は労働時間に当たります。更に、作業開始前に準備体操などを行っていれば、その時間も労働時間になります。

 

その他にも、以下のように労働時間に当たるかどうかが、一般であまり理解されていないものがあります。

 

労働時間となるもの

・参加を義務付けられた教育訓練

 

・事業所と顧客先等との間の移動時間

 

労働時間とならないもの

・就業時間外の自由参加の教育訓練

 

・一般健康診断を受診している時間

 

教育訓練として研修に参加した時間は、参加を義務付けられていれば労働時間となります。労働時間であれば、その時間に対して使用者は賃金を支払わなければなりません。

 

企業の中には、研修中は稼いでいないのだから給料は出さないというようなところもあるようです。更に悪質な企業になると研修費として参加者からお金を取るようなところもあります。これらは労働基準法違反となり、30万円以下の罰金となります。

 

一般健康診断については、労働基準法上では労働時間に該当しませんが、受診に掛かった時間に対しては賃金を支払うことが望ましいと、厚生労働省は通達を出しています。労使協議によって一般健康診断の受診の時間を労働時間とすると定めれば、労働時間としてカウントすることになります。

 

このように、労働基準法では労働時間とされないものであっても、労使協議や労働契約などによって労働時間とすることは認められています。

逆に、労使協議や労働契約などによって労働時間ではないと規定しても、労働基準法上で労働時間として認められる場合は労働時間となり、労使協議や労働契約の内容は効力を持たないことになります。


(労働法規に関する他の記事)
○会社を辞めただけでは失業ではない?
○有給休暇の取得を請求されたら会社は断れない?
○残業すると労働基準法違反かもしれない?
○6時間以下の労働では休憩は与えなくてよい?
○休日の振替と代休は扱いが異なる
○外国人を雇ったときに届出をしないと法律違反になる
○妊娠降格という報じ方は正しいのか?
○労働者派遣は元々は労働基準法違反


こちらをクリックしてください。