昨日までは正月3が日ということもあり、日本人として前向きで気分が良くなるようなテーマを選んでいました。今日からは、また様々なテーマで記事を書いていきます。

 

 

非正規労働者である派遣労働者については、雇用調整の対象になりやすく雇用が不安定であり、正規雇用者に比べて低賃金であることや能力開発の機会が不足して技能の蓄積がしにくくキャリアアップができないなどの問題点が指摘されています。

 

労働基準法には、中間搾取の排除という規定があります。労働者と使用者という労働関係にある者以外の第三者が、ピンはね等の不当な賃金搾取を行うことを禁止しています。

 

派遣労働者というのは、派遣される労働者と実際に使用者となる派遣先の間に派遣会社が入り、派遣先を紹介する代わりに、派遣労働者の働いた賃金の一部をピンはねしています。

 

どう考えても派遣会社は中間搾取をしていることになります。但し、現在の労働基準法に違反していることにはなっていません。

 

なぜならば、労働者派遣を認める法改正をしていたからです。それにより、労働基準法では「法律に基づいて許される場合のほか、他人の就業に介入して利益を得てはならない。」と変更されました。

 

ここでいう法律とは、労働者派遣法のことで、労働者派遣の場合は中間搾取をしても良いことになっています。

 

労働者派遣というのは勝手にやって良いわけではなく、派遣を禁止されている業務が決められていたり、労働者派遣事業をする場合は許可や届出が必要で、関係派遣先への制限などもあります。

 

元々は労働基準法で労働者派遣は禁止されていたのですが、労働者派遣を可能にするために労働者派遣法を作り、労働者派遣法で定められている業務については中間搾取が可能となるように労働基準法を改正したのです。

 

初期の労働者派遣法は、正規労働者が派遣労働者に置き換えられる可能性が少ない専門的な13業務に限って認められていました。その後に規制が緩和されて派遣可能な業務が増えていき、派遣期間も延長されていきました。そして、派遣可能の業務が原則自由化されました。

 

規制緩和というと、多くの人は良いことだと感じると思います。しかし、規制には、緩和した方が良いものと緩和すべきではないことがあります。

 

緩和した方が良いものは、規制する意味合いがなく、国民の大多数にとって不利益になるようなものです。ホテルについての規制(「ホテル-食堂=ラブホテル?」 )や、農業に関する規制(「変な規格のせいで美味しい農産物が出回らなくなる」 「美味しい牛乳が流通しない仕組がある」 )などは、緩和するべき規制の典型的な例です。

 

一方で、食品などの安全基準や自動車の安全や排ガスなどは、緩和すべきではない規制です。労働関係では、強制労働や最低賃金などを規制することは正しいことであり、緩和するべきではありません。このような規制を緩和してしまうと、多くの国民が不利益を被る可能性があります。

 

多くの国民が不利益を受ける可能性があるのに、規制緩和という言葉を使って、法律を改悪しようとする竹中平蔵氏のような人間が存在します。規制緩和という言葉に惑わされず、規制を緩和することによってどのようなことが起きるのかをしっかりと判断しなければなりません。

 

 

一度、労働者の派遣を許してしまい派遣労働者が存在することになると、派遣労働者の権利を守る必要が出てきて、後戻りするのは難しくなります。

 

小手先で法律を変えても、おそらく根本的な問題は解決しないでしょう。派遣労働者の問題を解決するには、景気を良くして人で不足になり、労働市場が買い手市場から売り手市場にして、労働者側に選択肢が広がることが最も有効な手だと思います。



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