2022年11月20日(日) 阪神競馬場11R
第39回マイルチャンピオンシップGⅠ(1600m・芝・右)
(17頭立て)(芝:良)
1着セリフォス ダミアン・レーン騎手
2着ダノンザキッド 北村友一騎手
3着ソダシ 吉田隼人騎手
4着ソウルラッシュ 松山弘平騎手
5着シュネルマイスター クリストフ・ルメール騎手
6着ジャスティンカフェ 福永祐一騎手
7着エアロロノア 武豊騎手
11着ダノンスコーピオン 川田将雅騎手
上記の結果でした。
毎度のように、上位5着までと、レース前に応援&注目した馬たちの結果を載せておきます。
さて、格闘技といえるほど激しいマイルチャンピオンシップGⅠの決着でしたね。
ゴール前も、かなりごちゃついていました。
結果は文字通り、最後の最後まで解りませんでした。
優雅にゴールに飛び込んだのは、優勝したセリフォスのみという印象でした。
2着以下は、かなりのぶつかり合いを繰り広げたという、泥臭いサバイバルになっていました。
もっともセリフォスも、道中13番手~14番手に控え、邪魔する者は誰もいない外側の位置から、タメにタメた末脚を、最後の直線でアクセル全開という、極限の走りを繰り出しました。
そして、セリフォスにかかるストレスを最小限にまで押さえた位置を心掛け、追いに追ったダミアン・レーン騎手は、とにかくお見事でしたとしか言いようがありません。
今までセリフォスには、少々非力な印象があったものの、この日はパドックでも特に調子が良さそうで、首が逞しい感じがして、それが妙に印象に残りました。
上がり3ハロン(最後の600m)も、33秒0というトンデモ・タイムで、マイル戦も勝利のためには極限の末脚が必要なのだと改めて見せつけられました。
おめでとう!!
この日の馬場(芝)は、標準の“良”に回復したとはいえ、どこか柔らかさが残る状態だったようです。
この影響をかなり受けたのが、サリオス(14着)とシュネルマイスターだったと思われます。
サリオスは、柔らかさが残る馬場がどこか苦手であり、それに1800mの方が得意になってきている印象。
シュネルマイスターは、鞍上のルメール騎手いわく「柔らかくい馬場のせいかも…」という事に加え、位置取りに苦しめられましたね。
エアロロノア&武豊との位置取り合戦において、一歩先を許してしまったという印象。
前にはソウルラッシュもいましたし…。
エアロロノアは、この6月の安田記念GⅠ(7着)の時に、32秒6の末脚を出した事があり、今回の手綱が武豊騎手という事で期待しました。
実は、シュネルマイスターも注目の1人(1頭)で、ロロノアとは奇しくも位置取り争いとなりましたが、ここでは勝負の観点で話をします。
エアロロノアの位置取りがとにかく良かったですし、まるで矢のようにゴールに飛び込んだので、良い意味での7着だったと捉えています。
ロロノアを導いた武豊騎手の騎乗技術には、改めて脱帽です。
武豊ファンとしての一切の先入観を取り去ったとしても、スゴイ騎乗でした。
そうそう、“位置取り”といえば、ジャスティンカフェが苦しい競馬になってしまいました。前が壁になり、どうしようもなかったです。
上がりは33秒2と、メンバーでも2番目に優れていたため、もったいない結末でした。
しかし、この日の仕上げは間違いなかったと思えますし、このタイムならば、次の機会にも期待できそうです。
そんなやり取りだらけで、まるで格闘技でも観ていたかのような、今回のマイルチャンピオンシップGⅠでした。
観ているこちらも神経がすり減りそうでした。
セリフォスが突き抜けて1着。
その後方1馬身1/4差にダノンザキッドが飛び込んできました。
更に、後方1/2馬身差でソダシが…。
そして、ソダシ(3着)以下から9着までの着差が、なんとハナ差やクビ差ばかりだったのです。
パトロールビデオで確認してみても、大接戦の大接戦でした。
しかも、横並びが混みあって、皆、隣の馬に接触があったり、ドカドカぶつかったりしていたのです。
例年以上に激しい、最後の直線のやり取りで、改めて、格闘技のようなレースでした。
そしてそんな中でも、特に粘り強さを発揮したと思えたのが、純白のソダシ!
結果は3着であり、正直、セリフォスやダノンザキッドには差をつけられた感もありますが、それでもソダシは、これまでのレース経験と勝負根性を総動員して粘り込んだのです。
道中は得意の先行4番手につけて、淡々と進めていたソダシ。
ダノンスコーピオンにかなりマークされていましたが、スコーピオンの方が粘り負け。
しつこい相手を振り切ったと思えば、最後の直線では、代わりにダノンザキッドとの戦いになりました。
今回、ダノンザキッドは、私の思う限り、最も仕上がりが良く(パドックで)、鞍上の北村友一騎手がレース前に優しくなだめていたのが印象的でした。
何か、本番前などのこういう瞬間に、馬と鞍上の相性の好さというものが出るみたいです。
落馬の大怪我から復活した北村騎手に、大きな馬体にどこか繊細なダノンザキッドというコンビ(新馬戦以来)。
最後の直線…ソダシにも勝負を仕掛けてきた!(ちなみにこの直線では、勝負は至る所で勃発)
ダノンザキッドは、馬場の真ん中にいたソダシのちょうど内側にいて、お互い、特に激しくぶつかり合っていました。
しかも、ダノンザキッドは本当に立派な馬格(当日530kg)なので、ソダシとぶつかってもビクともしない。
逆にソダシ(当日480kg)の方がよくはじき飛ばされなかった(転倒などが無くて)と感心しました。そして、少し経ってゾッとしました…。
マイル戦は格闘技…!!
力もさることながら、勢いのあったダノンザキッドが優勢で、結局、半馬身ほど前に出られてしまいましたが、ソダシには更にその横(外側)からソウルラッシュも襲来しており、サンドイッチ状態になっていました。
ソダシはソウルラッシュにはギリギリで競り勝ち、3着を死守!!(血管が切れそうなほどの大接戦でした)
振り返ってみると…
改めてソダシの地力と粘り強さを賞賛したいです。敢闘と言っても良いのではないでしょうか。内容が濃かったです。
よく頑張りました!
『マイル戦は底力が鍵になってくる』という事が多いけれど、今回のソダシはまさしくそのケースであり、彼女自身が積み上げて来たもの…負けん気の強さや、昨年12月(チャンピオンズカップ)や今年2月(フェブラリーステークス)に、ダートGⅠを走った経験などが、こういう場面で強さになるのだと教えられました。
色々な状況の中で、4番手の先行で、最後の最後まで粘り込んでの3着であり、価値は重いと捉えています。
“真っ白で可愛いアイドルホース”というだけでなく、間違いなく“最強クラスの競走馬であり、美しい名牝”なのだと思います。そして“真のマイラー”なのだという証明もできたのではないでしょうか。
掲示板に3・4着が写真判定に持ち込まれ“3着がソダシ”と決まった時、私はホ~~ッと胸を撫でおろしました。
いやはや、これほどまでに観ていて緊張したレースも珍しいです。
今期一番だったかも…。
それと同時にレース直前の風景を少し思い出していました。
実は、競馬中継の中で小さな女の子が一瞬映っていたのを思い出していました。真っ白な馬のぬいぐるみ(ソダシだと思われる)を背負っていて、(恐らく)お父さんに肩車をしてもらって観ていたのです。
私自身、応援しているソダシが3着で、地力を示し、真のマイラーとしての体面も保てたと満足していましたが、その観ていた小さな女の子のためにも、「純白の馬が3着に頑張ってくれて良かったな…」とも思いました。
(もしかしたら、親御さんの方がソダシのファンだったのかもしれないけれど、それでも帰り道で、楽しい会話でもしながら思い出してくれてたらいいな…)
本当は優勝こそ理想であり、最高なのですけれど、それもある意味、運や巡り合わせ、レース内でのその都度の微妙なやり取りも一つ一つ関わってきます(無責任な書き方ですが、本当にそう思います)。
出走馬ならば、勝ちたい気持ちは皆同じですから。
それにまた、その上で出た結果で、3着と4着では意味も重みも違うと思うので。
そんな事を思いつつも、とにかくホッとしていました~~。
“ソダシ”(サンスクリット語で「純粋・輝き」)の馬名の通り、輝いていました。
純白で、力強く!
心底ホッとしましたし、感動しました。そして、積み重ねた経験が力になる事の大切さも…。
第39回マイルチャンピオンシップGⅠの感想でした。