【映画】蛇の道~意外な猟奇展開が個人的に嵌らず・・・ | 鶏のブログ

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【監督】黒沢清

【原題】Le chemin du serpent

【制作国】フランス/日本/ベルギー/ルクセンブルグ

【上映時間】113分

【配給】KADOKAWA

【出演】柴咲コウ(新島小夜子)

    ダミアン・ボナール(アルベール・バシュレ)

    西島秀俊(吉村)

    青木崇高(宗一郎)

【公式サイト】

黒沢清監督が1998年に制作した同名映画を、舞台をフランスに移してセルフリメイクした作品でした。主演は柴咲コウとダミアン・ボナール。ボナールは、先日リバイバル上映で観た「レ・ミゼラブル」で、信念のある主演の警官役を務めたのが印象的でしたが、本作では対照的に柴咲コウ演ずる新島小夜子を盲信し、操られる役柄で、中々興味深かったです。
 
お話としては、娘を謎の財団に殺されたボナール演ずるバシュレが、小夜子の助けを得て次々と財団の関係者を拉致しては復讐していくというものでした。はじめは実行犯を突き止めるというサスペンスかと思って観ていましたが、パリで精神科医をしながらバシュレの復讐を助ける小夜子のキャラクター設定が非常に不気味で、拉致監禁から殺害に至る復讐の方法も実に猟奇的。どちらかというとホラーチックな作品になって行くという意外な展開でした。
次々と拉致した財団関係者の証言を聞いていくうちに、事件の真相が徐々に明かされて行き、最終的に小夜子がバシュレを助けた動機や、別居している夫(青木崇高)との関係も判明するに至り、なるほどと思ったところでエンディングを迎えました。まあ最終的に謎は解けた訳ですが、実に後味の悪い物語であり、あまり好みの作品ではありませんでした。
 
ただ俳優陣は中々素晴らしく、特に柴咲コウの俳優魂は大したもので、パリ在住の日本人の患者である吉村(西島秀俊)や、夫との会話以外は全編フランス語で演技しており、(フランス語が全く分からないので、そのレベルがどの程度かは定かではないものの)この作品のために相当な努力をされたことは間違いなく、その点は大いに評価したいと思います。また、ダミアン・ボナールの何か裏がありそうな雰囲気を表現しつつ、徐々に小夜子に操られて狂って行く感じの演技も見物でした。
一方で、在パリの日本人患者を演じた西島秀俊は、もっと重要な役どころなのかと思いきや、全然そんなことがなく、何となくもったいないような気がしました。小夜子の夫を演じた青木崇高は、テレビ電話越しの登場シーンしかなく、ある意味贅沢な配役でしたが、彼に与えられたセリフが余りに軽率で、もう少し何とかならなかったのかなと思ったところでした。あの最終盤のセリフは、役者が生きて来ないように思いました。
 
そんな訳で、本作の評価は★3とします。