【監督】マーティン・スコセッシ
【原題】Killers of the Flower Moon
【原作】
【制作国】アメリカ
【上映時間】206分
【配給】東和ピクチャーズ
【出演】レオナルド・ディカプリオ (アーネスト・バークハート)
リリー・グラッドストーン (モーリー・カイル)
ロバート・デ・ニーロ (ウィリアム・”キング”・ヘイル)
【公式サイト】
マーティン・スコセッシ監督の作品を観るのは、2019年に劇場公開された「アイリッシュマン」以来4年ぶり。「アイリッシュマン」も3時間29分に及ぶ超大作でしたが、本作も3時間26分に渡る超大作で、トイレの心配をしながら観に行きました。ただ、インド映画ばりの長編映画でしたが、全く長さは感じさせず、最後までトイレに行くこともなく集中して完走出来ました。
「アイリッシュマン」は簡単に人が殺されていく映画でしたけど、マフィア同士の抗争で、まあ言ってみればあっちの世界の話なのであまり深刻に感じませんでしたが、本作はインディアン(アメリカ原住民)であるオセージ族から、石油利権を奪うために彼らを次々に殺していくという話であり、実に後味の悪い話でした。しかも、原作となった「花殺し月の殺人
エドガー・フーヴァーが、テキサス・レンジャー出身の特別捜査官トム・ホワイトに命じて捜査するという話のようで、映画化するにあたり、当初はディカプリオがトム・ホワイトを演ずる予定だったそうです。しかしこれでは白人がヒーローになる映画になってしまい、インディアンに対する虐待に光が当たらないということで、ディカプリオをオセージ族のモリーと結婚して財産を奪う側の白人であるアーネスト役にしたところが本作の凄いところ。
実際には、ロバート・デ・ニーロ演ずるアーネストの叔父で、”キング”ことヘイルが一番の悪者ではあるのですが、アーネストもキングの手先となって連続殺人に加担していきます。ただ、面白いことに妻としたモリーのことは本当に愛しており、だからこそ子供も作ってキングに窘められています。それでもキングの命令には逆らえず、モリーに毒を盛っているという駄目駄目な人間がアーネストな訳ですが、そんな人物像を絶妙な演技で表現したディカプリオは、素晴らしいの一言でした。
また、「アイリッシュマン」では主役を演じたロバート・デ・ニーロも、残虐な役柄を紳士風に演じて一層怖さを際立たさせており、こちらも最高でした。
本作は概ね100年前の話だった訳ですが、9月に公開された「福田村事件」もちょうど100年前、1923年の関東大震災直後の悲劇を掘り起こした作品でした。本作にしても、「福田村事件」にしても、言わば自国の黒歴史にあたる出来事を、記憶に留めるために創られた作品であり、こうした作品を創った制作者の方々に、改めて敬意を表したいと思います。
そんな訳で、本作の評価は文句なく★5です。
総合評価:★★★★★
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