2020年に見た劇場で観た映画を独断と偏見で評価し、オレデミー賞を決めるという企画です。
具体的な対象作品は、本ブログに感想を書いた21作品です。
内訳は、日本映画(アニメを除く)8本、外国映画10本、アニメ3本です。
(1)総評
今年は2月にコロナが流入し、以降コロナ禍に突入した大変な年でした。特に映画や舞台など、人が集まる場所は一時的に閉鎖を余儀なくされるなど、興行会社にとっても死活問題だったし、観客に取っても欲求が溜まる1年だったと言えるかと思います。
そんな中で劇場に足を運んだのが20回余り。身体を壊すことなくこの1年も映画を観て来られた幸せを噛みしめながらオレデミー賞を選定させていただくこととします。
今年はコロナ禍になった影響で、新作の封切りが見合わせられることもありましたが、前半で印象深かったのが第一次世界大戦関連の2作品「彼らは生きていた」と「1917 命をかけた伝令」でした。これらは第一次世界大戦終結100年を機に制作されたもので、前者は当時の記録映像をつなぎ合わせ、さらにはカラー化した労作で、さながらタイムマシンに乗って100年前を旅したような気分にさせてくれました。
また、個人的に初めて観た韓国映画の2作品「パラサイト 半地下の家族」と「はちどり」の2作品も印象的でした。「パラサイト」は本家アカデミー賞作品賞も受賞したので、その出来栄えは言うまでもありませんが、「はちどり」も含め、日本を上回る格差社会、学歴社会、男尊女卑と言った韓国社会の実相を描きつつ、映画としての演出や映像美なども兼ね備えた作品で、いずれの作品も記憶に残るものでした。
(2)オレデミー賞候補作
オレデミー賞候補作は、以下の21作品としました。
ジャンル | 題名 | 監督 | 主演 | 評価 |
日本映画 | 男はつらいよ お帰り寅さん | 山田洋次 | 渥美清 | ★★★★ |
日本映画 | 三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実 | 豊島圭介 | 三島由紀夫 | ★★★★ |
日本映画 | シネマ歌舞伎 三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち | 松本幸四郎[10代目] | ★★★★ | |
日本映画 | 罪の声 | 土井裕泰 | 小栗旬、星野源 | ★★★★ |
日本映画 | 噓八百 京町ロワイヤル | 武正晴 | 中井貴一、佐々木蔵之介 | ★★★ |
日本映画 | コンフィデンスマンJP プリンセス編 | 田中亮 | 長澤まさみ、東出昌大、小日向文世 | ★★★ |
日本映画 | 事故物件 恐い間取り | 中田秀夫 | 亀梨和也 | ★★★ |
日本映画 | 新解釈・三國志 | 福田雄一 | 大泉洋 | ★★ |
外国映画 | 彼らは生きていた | ピーター・ジャクソン | ★★★★★ | |
外国映画 | パラサイト 半地下の家族 | ポン・ジュノ | ソン・ガンホ | ★★★★ |
外国映画 | 1917 命をかけた伝令 | サム・メンデス | ジョージ・マッケイ | ★★★★ |
外国映画 | 21世紀の資本 | ジャスティン・ペンバードン | ★★★★ | |
外国映画 | はちどり | キム・ボラ | パク・ジフ | ★★★★ |
外国映画 | 誰がハマーショルドを殺したか | マッツ・ブリュガー | マッツ・ブリュガー | ★★★★ |
外国映画 | ヴィタリナ | ペドロ・コスタ | ヴィタリナ・ヴァレラ | ★★★★ |
外国映画 | ザ・ハント | クレイグ・ゾベル | ベティ・ギルピン | ★★★ |
外国映画 | ミッドサマー | アリ・アスター | フローレンス・ピュー | ★★ |
外国映画 | TENET テネット | クリストファー・ノーラン | ジョン・デヴィッド・ワシントン | ★★ |
アニメ | 風の谷のナウシカ | 宮崎駿 | 島本須美 | ★★★★★ |
アニメ | STAND BY ME ドラえもん 2 | 八木竜一、山崎貴 | 水田わさび | ★★★ |
アニメ | 劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 | 外崎春雄 | 花江夏樹 | ★★ |
(3)2020年オレデミー賞受賞作品
総評にも書いたように、今年初頭に上映された第一次世界大戦関連の2作品の中でも、特に強烈な印象を残した「彼らは生きていた」を大賞に選定しました。100年前の記録映像なので、当然モノクロであり、傷みがあるものだったと思いますが、それらを丹念に修復し、かつカラー化し、さらにはこれまた当時の音声データを上手くつなぎ合わせて一編の映画に仕上げた努力には、素直に敬服するしかありません。
外国映画部門の作品賞は「彼らは生きていた」を選定しましたが、主演部門の俳優賞は「パラサイト 半地下の家族」の主演、ソン・ガンホを選定したいと思います。映画そのもののインパクトもあり、ソン・ガンホを始めとする俳優陣の好演も光っていました。