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「俺は見たいよ。知りたいし触れたい。」
堂々と…というか、恥ずかしげもなくと言うか。
一護はオレ達を見渡しハッキリとした声で言った。
「キスもセッ クスもしたい。身も心もじゃねーけど、好きな女の全部が欲しいと思う。これって不純なの。」
リュウ兄はそういうつもりで言ったんじゃない。ほら見ろ案の定リュウ兄は赤面したまま頬をひきつらせている。
「むしろピュアじゃね?百歩譲って普通じゃね?」
それに対し一護は真顔だ。
理人は笑いを堪え、剛史は既に笑っていた。オレは、
「なぁハル。俺 間違ってる?」
…オレはぁ、
「…同意の上でお願いします。」
何故か赤面した。
・・・・
「ふふふ〜ん♪」
宿題をキリの良いところまで終わらせお店に降りようとしていた時だった。
『えーーー?!』
「ん。」
皆いるんだ。随分驚いてるけど…どうしたんだろ。
その時はまだ顔を出すつもりでいた。でも、
『***は大事な可愛い幼なじみだぞ?』
え…私の話してる?
それが分かると降りる途中で足が止まる。皆の居る席は階段とは壁一枚 階段に腰掛け耳を澄ませた。
『不純?不純ってなに。』
いっちゃんの声だ…。
そして語られる数々に私の心臓はバクバク言い始め、
『好きな女の全部が欲しいと思う。』
うわぁ……!
顔面赤面、呼吸も忘れピクリとも動けなくなって。
〜R…。
『…チッ。親父だ。帰るわ。ま、そういうことで協力よろしく。』
足音が遠ざかる。そしてカランとドアのベルの音がした。その瞬間、
「…はぁぁ…。」
私は一気に力が抜けたというか、やっと呼吸が出来たというか、大きく深呼吸、コテッと壁にもたれて。
なんなの、今の会話ぁ〜…。
いっちゃんが帰ったことを確認しても降りる気にはなれなかった。這うようにしてでも部屋に戻ろうとした。けど、
『いっちゃん本気だね。なんか嬉しいな。』
『俺も。やっと本命見つけたんだからな。』
え…。
『だねー。しかも相手は***ちゃん。いいじゃんいいじゃん。』
『アイツ***のこと束縛しそう。っつか嫉妬とかするんだなぁ。』
「…。」
皆の会話には…なんだか。
いっちゃんは私の想像どおりきっと凄くモテるんだろう。彼女も…いたんだと思う。
だけど一方的な想いを受け入れるばかりだったのだろうか。彼自身はそんなでもなかったのかな…。
彼らの話はそんな風だ。
『ちょっとカッコいいなって思っちゃったよ。堂々と『落とす』宣言してさ。』
『ハァ。にしてもあの言い方はねーぞ。』
『ハハ。アイツらしいよ。オレ思い出したんだけどさ、子どもの頃一護***のこと好きだったよな。』
『そうそう、好きだった。初恋の相手っていうのもあって惚れたのかもしれないよな。』
え、いっちゃんも私のこと?私たち初恋同士なんだ…。
10数年ぶりに知った真実は甘酸っぱく胸をいっぱいにする。…だけど、
『随分ハッキリ言ったよねー。触りたいってさーー。』
『それよりその続きな。』
それはちょっと…!
「っ…!」
笑い声に紛れ私は階段を一気に駆け上がる。そして部屋に入り、
パタン
「もうなにぃ〜〜?!」
熱い頬のまままた座り込み、自分自身を抱きしめた。もう素っ裸にされたみたいで、
「ヤダヤダやめてぇ…!」
これからいっちゃんとどんな顔して会えっていうの??
「あーー…。」
か、帰りたい…。
…そう、思っていたんだけど。
・・・・
その日の午後も翌日も、またその次の日も。いっちゃんはクロフネに来なかった。
「***ちゃん、閉店の札だしてー。ドアロックしてー。」
「あ、ハーイ!…。」
常連だって聞いたけど全然来ないんだな…。
クロフネではサトウ洋菓子店のケーキを提供している。だから午前中に届けに来てはいるみたいだけど、私は部屋にいるし会うことはなくて、
「ハル達と随分打ち解けたようだね。」
「うん。皆優しいし面白いよ。」
午後はハルくんたちは来るけれど、いっちゃんは一緒じゃなくて会うことは…なくて。
え、避けられてる?いやいや、私なにもしてないし。
「…。」
まぁ…いいんだけど。
・・・・
「…そうか、分かった。じゃこれから取りに行くから用意しておいてくれ。」
いっちゃんの姿を見ることがなくなって三日目 午後のことだった。
「***ちゃん、悪いがケーキを貰って来てくれるかな。一護が持って来れそうになくてさ。」
マスターは申し訳なさそうに手を合わせる。
これから商店街の店長さん数人で集まるらしい。ケーキの数が足らないらしく、
「あ、ハイ!」
初めて行くな…サトウ洋菓子店。
「いってきます!」
…いっちゃん、いるかな。
思いがけず自ら足を運ぶことになった。
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