夏の続きを、君と:24(吉祥寺恋色:佐東一護) | ANOTHER DAYS

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「orangeeeendays/みかんの日々」復刻版

ボルテージ乙ゲーキャラの二次妄想小説中心です
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日々の出来事など。

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「なんだよ、かしこまって。」


いっちゃんは口ごもる私を変に思ったのか 胸の前で腕を組み眉をひそめる。


「あの…。」


10年以上前のことだとしても…どうしようもなかったことだとしても、彼を傷つけたことには違いない。だから、


「…昨日ね、」


思い出した以上 謝らずにはいられなかった。


ステンレスの調理台越し 神妙な顔をしている彼としっかりと目を合わせ、


「昨日、久しぶりに…」


アルバムを…


「ああ、惚れた男から電話があったって話?」


「…。え?」


え…


「マスターから聞いた。担任らしいな。」


昨日…ああそうか…いやいやでも違う、その話ではなくて、昨日久しぶりにアルバムを見て、


「夏祭りに携帯を拾ってくれた男らしいじゃん。で、偶然にもお前が入学した高校の教員だったとか。」


…え、ちょっと待って。出会いから知ってるの?


意に反して話が進んでいく。でもそこは聞き流せなくて眉を潜めた。


「担任になって浮かれたんじゃねーの。教師と生徒ってことも忘れて、先月の三者面談の時に告…」


ちょっと待って!


「ストッーープッ!!」


両手を広げ大げさなほど前に突き出した。ジョージさんどこまで話したの、というかお姉ちゃん話しすぎ!!


っていうより、


「浮かれてないし!」


「ハイハイ。」


顔を真っ赤に染めた私を呆れ顔で遇らう。そして追い討ちをかけるように、


「昨日久しぶりに声を聞いて…で?この続きはなんだよ。」


随分と突き離した。


「ときめいちゃった、とか言うわけ?それに俺はどう反応しろっつの。」


「違うよ!全然違うし!」


「んな必死にならなくても良くね。」


話したかったこと全部違う…!


会話が思わぬ方向に向かう。いっちゃんの表情も声も段々と投げやりになっていく。


なにこの感じ…その話がしたいんじゃないのに。


ただ謝りたかった。あの夏の日 流星群を一緒に見るって約束したのにこの街を離れたこと


「あのさ、いちいち報告なんて要らねーんだよ。」


ちゃんと謝りたいのに…。


話を変えたいのにダルそうにため息をつく様子に言葉が喉で止まってしまう。


「そもそもお前になんか言える権利 俺は持ってねーだろ。」


「…。」


昨日の電話のことなんてどうでもいい。そんなことどうでも…


あ…。


「っ…」


そこまで思った時…ハッとした。


どうでもいい…?私…もう先生のこと…。


先生との電話 その瞬間確かに胸は激しく打ち心は乱された。でもいつの間にか忘れて…今の今まで思い出すこともなくて。


最近前ほど先生を求めていない。忘れようとしてるから それはそうなんだろうけど、


いつのまにか…私は、


「…ったく。」


いっちゃんのことばかり…。


苛立ちを抱えたままいっちゃんは目の前に来た。そして少しだけ屈んで目線を合わせ、


「どうしてもって言うなら聞くけど。嫌々な。」


嫌味っぽく顔を近づけすぐにプイッと逸らして。


いっちゃん…。


私はいつのまにか失恋を乗り込えている もう前を向いていた。…それはきっと、


「…。」


私がいっちゃんを…。


「…ハァ。なんか俺ダッサ。」


重い空気を払拭するように 彼は前髪を留めていたピンを外しワサワサと髪を解いた。そして、


「あー…でもひとつ言っとく。」


大きく息を吐き真っ直ぐに私を捉え言った。


「ソイツを運命の相手だと思ったところでどうにもならねーからな。」


運命の相手とかもういい。自分の気持ちが分かったからもういいよ。


口角を上げて勝ち誇ったような顔で見つめるいっちゃんは、


「俺がお前の運命を変えるから。」


…容赦なくまた私の胸の奥を鳴らすんだから。


・・・・


「イヤは却下。」


いつも真っ直ぐに私に想いを伝えてくれる。…あの時だけだったな、曖昧だったの。


『お前のこと好きみたいだわ。』…


…今もまだ、みたい、かな。


「…だったら…今変えてよ。」


「え?」


それでもいいや。


イスから腰を上げ向かい合う。ヤバい、緊張し過ぎて泣きそうだけど、


「いっちゃん。」


「…なんだよ。」


彼を想うこの気持ちはもう誤魔化せないから。


「私をいっちゃんの彼女にしてください。」


目を丸くし見つめ返される…私こそ自分の発言に驚いちゃうけど、


「…マジで言ってるそれ。」


「…うん。」


「このタイミングでかよ?」


「うん。」


「…。…え、マジ?」


「マジ。」


いっちゃんが好きだ。この気持ちは確かだから。



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