星の王子さま:2 (吉祥寺恋色:佐東一護) | ANOTHER DAYS

ANOTHER DAYS

「orangeeeendays/みかんの日々」復刻版

ボルテージ乙ゲーキャラの二次妄想小説中心です
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before

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「あ、いっちゃんおはよ。」

 

「ああ。」

 

翌朝 いつもの時間にクロフネに到着。で、共に通学。

 

転校して来た***が高校に慣れるまで 皆で連れ立って通っていた。けど今は俺だけ。

 

ハルは生徒会、タケは寝坊 俺は元々クロフネの前を通学路としていたから、団体通学が解消されても偶然が一緒にさせる。ま、 ***に惚れてる俺からすれば願ったり叶ったりって話。

 

「ね、昨日寝苦しくなかった?」

 

「それ。暑かったよな。フワァ…ねむ。あんま寝た気しねーわ。」

 

「いっちゃん授業中に寝る気でしょ。試験近いんだからちゃんと聞いとかないと。」

 

「お前が聞いとけよ。で、ノート貸せ。」

 

「やだよお。」

 

コイツのこういうとこが好き。昨日のイザコザ引きずらない やらかしまくる俺からすればすげー神対応なとこ。

 

ここ最近遅刻ゼロの俺。どんなに眠くても起きて一緒に登校する。前日モメてたら尚更だ。


「あ、今日夕方雨降るらしいよ。傘持ってきた?」

 

「は。持ってきてねーよ。お前持ってんの。」

 

「もちろん。」

 

自慢げにカバンから折りたたみ傘の持ち手を見せる。

 

「貸せよ。」

 

「私が濡れるじゃん。」

 

「貸せって。」

 

「やだよ。…もーいっちゃん!」

 

ガキみたいに戯れあったりとかもする。…やっぱ最初は良い感じなんだよな。すげー良い感じ。

 

キャッキャッ笑うコイツの笑顔に釣られて俺まで朝からご機嫌。幼なじみだけどそれ以上期待したくなるような。

 

「だったら、雨が降ったら一緒に帰ろうよ。傘入れてあげる。」

 

上目遣いで言われでもしたら…顔が熱くなって、

 

「…テルテル坊主作ろ。」

 

「どういう意味よお??」

 

ちょっと意地悪言っちまうんだけど。

 

高校が近くなってくれば周囲も賑やかになる。声かけてくる奴も増えるから 放っておいてくれって思う。っつか、高校ってこんな近かったか。

 

正門をくぐる頃 ふとグラウンドに目を向けると朝練してる部活動員らが見えた。

 

「…そういえばさ。」

 

いくら機嫌良くはなっても昨日のイザコザを放置出来ない。気になっていたこと、聞いた。

 

「昨日の話、どうすんだよ。」

 

「え?昨日の話って?」

 

俺の視線の先を追い、***は『ああ…』と小さくため息をついた。そして

 

「…どうしよう、かな。」

 

「は?」

 

「どうしたら良い?」

 

逆に聞いてきた。

 

「どうって…。」

 

立ち止まった中庭。目を合わせるこの一瞬。

 

「…自分のことだろ。自分で決めろよ。」

 

フッ…と瞳を揺らされた、この一瞬。


あ…。


この時に***の様子がおかしいことに気付いた。伏せた瞳と


「…ですね。」


投げやりな声の調子に。


「いっちゃんに聞いたのが間違いだった。そうだね、自分で決める。」

 

「…なんだよその言い方。元々俺は関係ね…」

 

「関係無いよね。だったらどうするのかなんて聞かないでよ、関係ないじゃん。」

 

最初は良い感じなのに、不意にすげぇ険悪な雰囲気になる。こういうことがよくあった。

 

***は口元をへの字にし プイッと顔を背ける。そしてスタスタと先を歩いて行った。


「なんなんだよ…。」


上手くいかない。なんでこうなんの。


舌打ちしつつ、上履きに履き変えた時だ。


ピピ


「は。」


僅かな震えと受信音をポケットに感じて。


「んだよ…。」


ダラダラと廊下を歩きながら取り出す。音を消してからメールを確認した。…そうしたら、


「…。」


さすがに廊下のど真ん中立ち止まった。


『佐東一護。応答せよ。』


・・・・


…だれの仕業だよ。


辺りを見渡した。見慣れたいつもの光景 じゃれ合う仲間たちや教室に急ぐ下級生


特別おかしな様子の奴なんて…。


このわけの分からないメールが届いてから今日で三日目。その都度削除し受信拒否もするけど変わらず届く。


昨日は夜遅くにも届いた。で、今かよ?届く間隔が狭まっている。


チャット形式だから俺が見たのは相手に伝わってんだろう。っつか、マジでだれ、言いたいことがあるなら直接言えよ…。


「…クソ。」


拒否しても届くならもう放置するしかない


「キミ悪ぃんだよ…。」


舌打ちをした時だった。…あ、


「っ…」


握っていたスマホがまた震える。俺はその場に座り込みそうになった。


「…勘弁しろよ…。」


『佐東一護。至急応答せよ。』



next

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