熱が下がったから (吉祥寺恋色:Short:佐東一護) | ANOTHER DAYS

ANOTHER DAYS

「orangeeeendays/みかんの日々」復刻版

ボルテージ乙ゲーキャラの二次妄想小説中心です
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日々の出来事など。

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長編が中断しているからな…このあたりで一護の短編を投入。

高校生いっちゃんの強引さが好きです。

 

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コンコン

 

「いっちゃん、来たよ。」

 

寝てるのかな…。

 

コンコン

 

「いっちゃん~。」

 

彼から体調が悪いと連絡があったのは五日前だった。

 

風邪?温かくして寝てねって言ったのに 日に日に症状は悪化して頭痛に咳、くしゃみ そして熱

 

どんな具合なのか心配していたけれど 風邪がうつってはいけないからと会いに行くことは断られる。熱が下がったと連絡のあった昨日

 

『明日も休むわ。全然調子良いけどな。終業式だけの為に行くとかだりぃ。』

 

結局終業式もいっちゃんは学校に来なかった。結局彼はそのまま冬休みに突入した。

 

『終業式終わったら来いよ。』

 

『良いの?』

 

『ああ。絶対来いよ。』

 

そんな調子で 私は放課後サトウ洋菓子店に行く。

 

入り慣れた佐東家の彼の部屋をノックしたわけだけど

 

カチャ

 

「いっちゃん?…あれ。居ない。」

 

ドアを開ければ無人で…。

 

「あれ…」

 

どこ行ったんだろ 部屋に居るっておじさん言ってたのにな…。

 

部屋に入り 乱れたベッドの様子に目を向けた時

 

ガバッ

 

「わっ!」

 

「遅い。」

 

背後から突然抱き締められた。

 

「いっちゃんっ」

 

「遅ぇよお前。待ちくたびれただろ。」

 

何処に隠れていたのか隣の部屋?驚いてしまったけれど

 

背後からだとしても久しぶりに感じるいっちゃんの大きさと温もりに自然と頬は緩んで。

 

「寝てなくても大丈夫なの?」

 

大きな腕の輪から抜け 彼の顔を見つめた。

 

「平気。」

 

フフンと笑ういっちゃんの顔色は確かに良くて。声も鼻声ではなくなっていて。

 

「良かった…心配したんだよ。」

 

「だったらすっ飛んで来いよ。なんで遅くなった?」

 

胸をなで下ろす私を今度は正面から抱き締める。だから私も自然と背に手を回した。

 

「あぁ、ハルくん達と『一日遅れのクリスマス会』の計画してたの。」

 

「ハル達と?」

 

「翌日にはなっちゃうけど皆でクリスマス会しようかって。いっちゃん、ケーキ焼いてね!」

 

私的には楽しみでしかない幼なじみとのパーティー。けれど いっちゃんは

 

「…ふ~ん。」

 

「どうしたの?」

 

「んな事でここに来るの足止めされたのかよ。」

 

気に入らなかったみたいで…。

 

距離を開け顔を見れば少し不機嫌 拗ねた顔をしていた。

 

「いっちゃん?」

 

「なんだよアイツら…。」

 

「なに?どうしたの…」

 

「訳わかんねー理由で***を足止めさせやがって。すぐに来させろっつー…。」

 

唇が軽く尖ってる。どこにともなく視線が尖ってる。

 

「お前が俺の女だって分かってんのかどーか。」

 

「そんなの分かってるよ。応援してくれてるよ?」

 

「どーだか。」

 

いっちゃんの独占力半端ない。時々窮屈に感じる事があるけれど私を好きでいてくれるからだと思うと私は嬉しくて堪らなかった。

 

「アイツらがお前に手ぇ出したりしたら…」

 

「もう!そんなわけないでしょ、心配し過ぎだよいっちゃん!」

 

私は笑いながら自ら彼の胸に頬を埋める。そうしたらギュッと強く抱きしめ返してくれた。

 

「フフ。いっちゃん 家にずっと居たからケーキの匂いがするよ。」

 

甘い甘い匂いが染みついてるみたい。目を閉じればいつもにも増してホッとシアワセな気分になって

 

「会いたかったよ~…」

 

私は恥ずかしげもなく 本心を打ち明けたりして…一人で胸の中ニヤニヤしていたんだけど

 

「…疼く。」

 

「え?」

 

いっちゃんは…

 

「お前そんな事言ったら疼く。」

 

「え…」

 

ニヤッと上がった口角は意地悪な笑みを生み 病み上がりだっていうのにあり得ない状況を想像させ…

 

「ちょっ…ちょっ!!」

 

案の定ズリズリと背後に押され…

 

「その気にさせたのお前だかんな。」

 

「キャッ!!」

 

バフッ!!

 

ウソでしょっ??

 

押し倒されたのはベッド、だなんて。

 

「ちょっと待って、いっちゃん 熱下がったばっかり…!」

 

「だからぁ、熱が下がったから大丈夫、なんだろ。何日お預け食らったと思ってんだよ…」

 

「でも…っ」

 

「でもじゃねーよ、だ・か・ら!」

 

体調が復活した彼には何を言っても無駄っぽい…それでも体調を気にする私にいっちゃんはとうとう

 

「なんだよイヤなのかよ。」

 

眉間に皺を寄せ睨んできた。見下ろされている分迫力ある…だったからではなくて、

 

「…イヤなわけないでしょ。」

 

そう答えてしまったのは 私こそ彼に会いたくて会いたくて…触れたくて堪らなかったからだ。

 

「…寂しかったよ、いっちゃん。」

 

腕を伸ばし 抱き寄せるようにして首筋に絡めればいっちゃんは満足そうな笑みを浮かべ

 

「だよな。俺も。」

 

…チュッ

 

音を立てた触れた唇は顔を見合わせる私たちを自然と微笑ませて。

 

「お前を抱きしめた時 冷気纏ってると思った。外、すげぇ寒いんだな。」

 

「うん。雪が降りそうな感じだよ。」

 

「だったら尚更…裸になってあったまろうぜ?」

 

・・・・

 

真っ赤な私の頬にキスを落とし スルスルと制服を脱がせていく。私ったら既にもう

 

「…熱出たら…いっちゃんのせいだからね。」

 

いっちゃんに 頭も心もフラフラだよ。

 

 

 

★END★

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