サンタマリア:12 (怪盗X:Long:柳瀬流輝) | ANOTHER DAYS

ANOTHER DAYS

「orangeeeendays/みかんの日々」復刻版

ボルテージ乙ゲーキャラの二次妄想小説中心です
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日々の出来事など。

キリの良いところまで…。

 

before

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いつでもどこでも目立つ人だな…。

 

というより、私どうしてこの人と一緒にいるんだろ?

 

白人男性と談笑している彼を横に首を傾げる昼下がり。

 

・・・・

 

心地良い春風 ぽかぽかと陽気な午後。

 

天井画を観賞する事が出来た幸福感を胸に 私達は境内の茶屋に足を踏み入れた。

 

そして手入れの行き届いた日本庭園を前に 桜を形取った生菓子に舌鼓をし お抹茶でホッと一息ついて…

 

「ふぅ。」

 

「やっと興奮冷めたか、芸術バカ。」

 

「もぉ~…っ」

 

ニヤニヤ笑う流輝さんに言い返してやろうとした時

 

Excuse me.」

 

ほら、来た来た…。

 

彼は声を掛けられたりして。

 

限定公開の天井画

 

古寺を訪れる人は 年配の人やら外国の人やらが多かった。

 

若い女性から熱い視線を受けるなら納得なんだけど…流輝さんはここでもチラチラと視線の的。

 

How do I drink to do is this…」

 

白人の男性からだって遠慮無く。なんなんだろう語学堪能な風に見えてしまうこの容姿

 

That's…」

 

見事に期待に応える語学力

 

「…さすがですね。」

 

「あれくらいの会話が出来なくて官僚が務まるかよ。」

 

博物館にも時に外国のお客さんが来る。そういう時頼みの綱は鴨野橋くん。

 

英会話には自信があると常々言っているけれど、流輝さんのようにサラサラ~と話すわけでもスマートに対応するわけでもない。

 

それでも鴨野橋くんかっこいい~、なんて冷やかして…こんなパーフェクトな調子を見ちゃうと鴨野橋くんの自信はどこから来るのかと疑問符だ。

 

「流輝さんは苦手な事とかあるんですか?」

 

この容姿に肩書き、家柄…性格はちょっと意地悪ではあるけれど

 

「怖いものとか。」

 

いちいち格好良いっていうか…彼を知れば知るほど女性には決して困りはしないだろう魅力を感じてしまっていた。掃いて捨てるほど女性は寄ってくるだろう。

 

だからこそ、どうしてこの人は私と今一緒にいるんだろうと。

 

彼の家族を通して知り合った。だけど 彼の何を知っているわけでもない。私の何を知られているわけでも。 だってまだ会うのは三度目

 

せっかくの休日に付き合って貰う程の仲ではない…。

 

「苦手…いや、こわいものはある。」

 

「え、なんですか?」

 

私が隣に居ることで彼の価値は下がってはいないだろうか

 

一緒に過ごしているこの瞬間を後悔はしていないだろうか

 

そこまで思うほど…彼が隣に居ることが不思議だった。

 

そんな彼の口から出た言葉といえば

 

「伊吹。」

 

「…プッ。」

 

「アイツには敵わない。」

 

思わず笑ってしまう。

 

「弱いですよね、伊吹ちゃんに。」

 

「まぁな。…何でも言う事は聞いちまう…な。」

 

少し弱った顔を見せたとしても表情は柔らかい。彼女が可愛くて可愛くて仕方が無いんだと伝わって。

 

「流輝さん。」

 

「ん。」

 

「今日は本当にありがとうございました。せっかくの休みなのにわざわざ…」

 

「別に。気晴らしには丁度良い。」

 

気晴らし…まぁ暇潰しと言われるより良いか。

 

「たまには良いよな。こういうのんびりとした時間。」

 

あ…

 

ドキ…

 

…この時 自分でもおかしいと思うくらい彼の微笑みに引きつけられる。

 

流輝さんは庭に目をやり…春風にフッと目を閉じた。

 

「…すげー気持ち良い。」

 

その横顔が…凄く綺麗で静かで趣きがあって。

 

「…。」

 

…私なんか…釣り合わない…。

 

そう思ってしまった私は もうこの時 彼の魅力に惹かれていたのかもしれない。

 

目を閉じている事を良い事にジッと見つめてしまう 彼の横顔に夢中になる。

 

だけど

 

「クック…俺に魅取れてるのか。」

 

「…えっ?!」

 

パチッと瞼を開き ニヤニヤと見つめ返されれば

 

「そうだろ。まぁその気持ちも分かるけどな。俺くらいになると。」

 

「自分に魅取れているだろうって…言えるのが凄いですよね、普通思わないし…言わないしっ」

 

「しょーがねーだろ。俺は生まれながらにしてパーフェクトだから。傲慢に接する事が運命づけられてるんだよ。」

 

色んな意味で凄すぎる。

 

彼の自信満々な姿に何かしら言い返したいけれど 何も言えなかった。

 

だって彼の言うとおり確かに

 

「そろそろ出ようか。今度は俺に付き合えよ。」

 

「え、何処か行きたいところがあるんですか?」

 

「俺が行きたい場所というか…」

 

意地悪な笑顔を優しいと感じる瞬間

 

「お前を連れて行きたいところ。かな。」

 

「え…」

 

その度にドキドキしてしまう自分に気づいていた。

 

 

 

next

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