列車がトンネルに入ったようだ

   すこし薄暗くなり なんとなく湿気を感じる


   トンネルを抜けたときの景色への


   わくわく感に 体が前のめりになる


   ゆっくりゆっくりと 目の前が明るくなっていき

   そして 心落ち着く 深いブルーに周りが染まった


   あぁ ここは ?


   まぎれもなく母の中で感じていたあの海か ?


   目を閉じると

   母がみたもの 母が感じたこと


   そんなすべてが浮かんでくる気がした


   不思議な駅だ




   実はこの駅にも秘密があった


   この海を感じさせるこの水にしょっぱさ感じる人は


   この駅にとどまるらしい


   見た目にとらわれる想いを捨てることができたとき


   次の列車に乗れるらしい


   しかし


   これまでの概念を拭い去ることは難しい


   そのせいだろう



   随分たくさんの人が 次の列車に乗れずにいる


   


   味のことなど考る余裕のなかったわたしは


   運よく もう列車に乗り込んでいる



   さて ユキちゃんも


   列車に乗っていればいいんだが



   それにしても


   不思議な駅があるもんだ

   青い駅

   目を閉じて

   母への想いを抱いた駅

 

   これまでの概念を拭い去る覚悟を求められる駅




                            by オッポ
 

こんばんはオッポひろしです。

新オッポひろしチーム

新たなイラストレーターを迎え

未だ未完成ではありますが

第1段

『雨上がりの星鳥君たちの大レース』

よろしくお願いいたします。

 

『動き始めた時間』第1章お楽しみ下さい

 

 

 

『雨上がりの星鳥君たちの大レースを観たことがあるかい?』

隣で寝ていた大きなおかぁちゃんがムクッと起き出して言ったんだ

ぼくはたぶん寝言だなって思ったから
背中を向けて狸寝入りしようとしてたんだ

 

        
だって今夜は

お空いっぱいにお星さまの河が流れる日だってうわさだもん

お昼寝たっぷりしておかなくちゃ

 

でもさやっぱ  大きなおかぁちゃんってずるいや
ぼくの大好きなスイカをさ縁側一杯に並べちゃったんだもん
ぼくはきなおかぁちゃんの隣にすわってスイカを食べながら
星鳥君たちのレースの話を聴くことにした
 

 

 

大きなおかぁちゃんがにやにやしながら庭に降りて

ホースで水を巻きはじめたんだ

すると
かんかん照りでしわしわになってた庭の草やお花が

ムクムクムクって起き出していつもの元気を取り戻した

 

 

 


次の瞬間
庭の隅っこのちっちゃな壁の方から
よーいどんって声とともに
赤やみどりや橙色、黄色に青に藍色、そして紫色、
星鳥んたち七羽の

かけっこが始まったんだ

 

 

 
 

『 えー?』

まーるい眼をして驚いてるぼくを見て
大きなおかぁちゃん ご満悦
みんながね虹だ虹だって喜んでるのはね
ほんとは星鳥君たちのレースなんだよ 』って
静かに言ったんだ
まだ消えのこる
星鳥君たちの大レースを見ているぼくの隣でいつのまにか
すやすやと寝はじめたきなおかぁちゃんがいる
 

 

 

あれ?
ぼくの方が夢を観ていたのかな?

変なの…

 


まぁ良いか

今夜は夜空で本物の星鳥君たちの大レースが観れそうだもん

 

                                                ストーリー by オッポひろし

                                                          イラスト  by mickey_well


 

       失くしたものを探すために

   誰もが もと来た道を歩く


   ただ あまりにも遠いあの日には

   決して戻れない


   私たちが乗り込んだこの列車は

   時に思いがけない風景へと

   私たちを誘う



   何気なく通り過ぎている

   車窓に流れる景色にも

   意味があるのに気づき


   私たちは


   外を見る機会が自然と多くなっていた


   そんな中


   列車が静かに停まろうとしていた


   『 あのころの森 』 という駅らしい


   それはそれぞれの心の中に広がる

   自分だけの森らしい


   心の中に広がる広々とした森は

   時に心地よさの中へいざなったかと思うと

   時に迷いの道へと導いた


       その瞬間しゅんかんに


   一喜一憂する


   さて


   今 私はどんな森を楽しんでいるだろうか


   ふと 前を見やると

   手招きをする幼子がいた


   何気なくついていくと

   灯りの漏れる小さな小屋の前で彼は消えた


   窓からのぞいてみると

   幼い私と家族の笑顔があふれていた

 

        自然に流れる涙を止められない



   あぁ 今私は孤独を悲しんでいるんだろうか


   寂しさを感じているんだろうか

 

   いつから どうしてこうなったんだろう


   そんな事を考えていると


   何処からか声が聞こえた


   『 寂しがる必要はありませんよ

     あなたの心の中にある思い出たちとは

     いつでも 何処でも逢えるんですから


     ただ 想いだすゆとりがないと逢えません

     逢いたいと想うゆとりを持つ

     ただ それだけですから 』



     やっぱり わたしも



     忙しさに追われて余裕がなかったんだろう


     たまに立ち寄るべきだな

 
     この


     『 あのころの森 』 という駅に



       



           
                    by オッポ
 

 草むらに寝転んで 星空を観ているのが好きだった私は

 遠い星に不思議な魅力を感じてた


 ある夜

 いつものように夜空を見あげていると


 ところどころ 薄青い空間があった


 気になっていたので

 この列車で訪ねて見ることにした


 
 いつものように音も立てず

 車窓の景色が変わりゆき


 列車内には何故か 童謡が静かに流れ始めた


 安らかな気持ちの中


 列車は静かに停まる




 『 幼子の駅 』 という 駅に到着
   (おさなご)

 小さい子供たちが走り回っている駅を想像した


 しかし この駅に子供はいない


 聞いてみると


 この駅にはまだ大人になりたくない人や

         大人になれない人
  
         大人の世界に疲れた人


 そして 幼心を忘れたくない人が


 とどまっているということらしい



 私みたいに詩や童話を好む人間もたくさんいるようだ



 それぞれの想いでみんな空をみあげている

 心が癒されはじめると


 薄青い空が 少しずつ すこしづつ


 大人の色に染まっていき


 旅立つ覚悟ができたとき


 夜の空色に変わっていくらしい



 夜空に浮かんだ ちぎれたような青い空の駅は


 たまに幼い心を取り戻したい人の


 憩いの駅だった



 大人の世界で疲れている あなたも


 たまに


 『 幼子の駅 』 を 訪ねて


 童謡を聞きながら


 絵本を読むのもいいだろう


 きっと 疲れた想いを


 癒してくれるから



                          by オッポ

 


   この列車に乗ってから

   朝夕の感覚もなければ

   いわば 空腹感らしきものもなかったんだが


   


   不思議な香りに


   急にお腹が空いてきた



   ふと目を見やると


   フライパンを片手に持ったコックらしき人物がいた



   彼は こう囁いた


   『 わたしは コックのオール

     あなたの食べたいもの このフライパンひとつで

     なんでも作ります 』



   そしてさらに

   

   「そしてその料理はあなたがこの世で最後に食べる料理になります」と 告げた



   いま ここで食べたもの

   それが いつか何処かで最後に食べる食事になる ?

 

   不思議な話だがなんとんく説得力のある話しぶりだった



   さぁ そうなってくると


   何を注文するか 迷ってしまいますね



   すると


   よこから ユキちゃんが


   なんのためらいもなく


   『 お母さんの卵焼き 』 といい

 

   オールはニコニコしながら

 

   「かしこまりました」と告げると

 

   手際よく

 

   いかにも美味しそうな卵焼きを作り上げた

 

 

   そしてユキちゃんは


   嬉しそうにムシャムシャと一心不乱に食べ


   そして涙を流し



   『 お母さん どっか行っちゃったの 』 と


  ポツリと言った

 

 

  そうか何処か行ってしまったお母さんを探す旅なのか

 

  勝手な妄想を抱いていると

  オールが 首を横に振っている

  そうか そうじゃない


  何か違うんだな

  もっと違う目的があるんだな


  オールを見ると

  深くうなづいた



  まぁ

  いろいろ考えるのは後にしよう


  それよりも私も何を食べようか


  そう


  私も実は 母親の卵焼きが好きなんだ

 

  母は料理が苦手で

  卵焼きもいびつな形だが

  みょうに旨いんだ


  『 卵焼き いっちょう 』

 

  その声に応え

 オールは満面の笑顔で 作ってくれた


 いつか何処かで私が最後に食べるであろう?


 母親の卵焼きを


 それにしても妙な気分だ


 最後に食べる食べ物を知るなんて



 死にたくないないなら食べなきゃいいんだろうが


 それが 必然的に廻ってくるんだろう


 避けられない現実なんだろう

 

 えてして人生ってそんなもんだ

 

 避けられない現実にどう向き合えるか

 

 それが問題なんだ

 

 

 さぁお腹もいっぱいになった

 

 次は何処に連れてってくれるんだろうな

 

 暗闇の中を列車は滑るように走っている




 



                        by オッポ

夢というものを知らないあの頃は

砂にまみれて山を作り続けた

泥んこまみれでも叱られる言葉が

何故か走り出す呪文のようだった

あぁいつの間に振り返ることばかり

あの頃の未来に立っているはずなのに

ほ〜らその手の先に守る人が見えるだろ

ほ〜ら守られた喜びを

守る喜びに変えられる


膝をつきあわせて

  座っている 小柄な女の子


  さっきからキョロキョロしている


  ちょっと気になったので話しかけてみた



  彼女はポツリ一言


  『 ここは ? 』


  どうやら 何が起こったのか把握できてないみたいだ



  『 あなたの 想いを載せて走る 列車ですよ 』



   次の駅は 『 探す駅 』 って書いてありました



  と 伝えた


  少し首を傾げた後


  彼女は 微笑んで目を閉じた


  とりあえず行き先がわかり


  少し安心したみたいだ


  そうか

 
  次の゙停車駅は『 探す駅 』なのか


   ん?



   ということは



   私も行き先を探しているのかな ?



   目に見えない時刻表


   2 ページ目が開かれようとしている



                                           by オッポ

  そろりそろりと動き出す列車

  車窓にはそれぞれの思いが映る


  特急列車や鈍行列車


  それぞれがそれぞれの想いで選んだ列車



  もちろん

  乗り降りも自由だ



  あなたは今どんな列車に乗り込んだだろうか





  私が乗り込んだ列車には 

  到着地の表示はない

  行き先も停車駅もわからない

  気ままな旅のはじまりだ




  そんな旅を続けるわたしを

  愚かだという者もいれば

  羨ましがる人もいるけど


  あなたはあなたなりに

  わたしはわたしなりに

  自分だけの

  旅を楽しみましょう

  



  言葉をかけてくれたあなたに

  感謝の気持ちを詰めた


  私なりの土産話を

  いつか届けるその日まで


  わたしなりのきままな旅は続く


  目に見えない

  時刻表を手に持って


                           by オッポ


   

               声を届けたい

     そう祈る私の前に 

     現れた 扉

     押し入ると

     もの静かな 時の番人が

     私の手を引く


     辿り着いた

     小さなみずうみ

     そこで

     番人は私に小石を渡し

     投げ入れるように促した

     
     足元に放り投げると

     番人は首を振り

     また ひとつ 


     力のかぎり 放り投げると

     番人は 頷きながら

     消えていった



     遠くではじけた 小石の波紋が

     今 私の 足元を ゆらしはじめている




     どんなささやかな声でも

      それがあなたの

     精一杯の

     叫びなら

     いつか だれかに

     とどく


             


          by オッポ

 


現実的に

あと何年生きるかにさほど興味はないが

70歳近くになるとなんとなく

やり残したことや

やりたいことを考える

情けないことに

未練タラタラだ


まして未だ元気だと言いたいが

体は悲鳴をあげている


しかし

何かと考える余裕があるだけでも未だ良いと自分を慰める今日このごろ


幸せの大きさや価値は

不思議に未だ理解できてないが


空が高いのに

気づくだけで良い