労働組合の仕事をしていると、
会社を辞める人と話をする機会が、けっこうあります。
引き止めるためでもなく、
理由を聞き出すためでもなく、
ただ最後にちゃんと話をしておきたくて。
そして不思議なもので、
辞めたあとのほうが、よく会っていたりします。
利害関係がなくなると、
人はずいぶん正直に話してくれるものです。
うまくいく人と、そうでもない人がいる
そうやって何人も話を聞いていると、
だんだん見えてくるものがあります。
次の職場でうまくいっている人と、
そうでもない人。
この差って、何なんだろうなと。
能力とか、業界とか、年齢とか、
そういうことじゃないんですよね。
主語が、どこにあるか
うまくいっている人は、
転職を「チャレンジ」として語ります。
やりたいことがあった。
試したい環境があった。
自分がどこまでいけるか見たかった。
主語が、ずっと自分なんです。
一方で、うまくいっていない人は、
転職を「解消」として語ります。
あの上司が嫌だった。
評価が正当じゃなかった。
この処遇はおかしいと思った。
こちらは、主語が会社なんですよね。
前者は、次の会社でも自分の物語を続けています。
後者は、次の会社でも
また同じ不満を見つけてしまう。
不満が動機だと、
不満のない場所を探し続けることになるからだと思います。
それでも、理由はいろいろあっていい
誤解のないように言っておくと、
辞める理由は、いろいろあっていいんです。
不満だって、立派な理由です。
我慢しろとか、感謝しろとか、
そんなことを言うつもりはまったくありません。
環境を変える権利は、
誰にでもあります。
勝手な願いなんですが
これは組合の人間としてではなく、
ひとりの人間としての、勝手な願いなんですが。
うちの会社で過ごした時間は、
その人にとって決して短くない時間だったはずで。
そこで身につけたこと、
乗り越えたこと、
悔しかったこと。
それを、次の場所でちゃんと使ってほしい。
「あの会社で学んだんですよ」って、
いつか言ってもらえたら、それがいちばん嬉しい。
辞めた人が幸せそうにしているのを見るのは、
実は、けっこう嬉しいことなんです。
送り出した側の、ささやかな特権かもしれません。
みんな、元気でやってくれてたらいいな。