レッスンで演奏するのは、本番とまた違う緊張がします。

なるべく間違えないように、言われたことができてるように、と変な意識に囚われて。


先日のレッスンでは漸く、気にし過ぎず、作品と同化する感覚で弾けました。

なんと、作品と自分が一体となった時、音が私のコントロール下にはなく、自ずと動き出す現象が起きたのです。

弾きながら、音の響きに導かれているような……。

「次はこういう風に動きたがってる」というのが分かる。

音に生命や意志が宿った感じがしました。


これは、小説を書いていて、「この場面でこの台詞」と考えなくても、キャラクターが降りて来て、勝手に動き出すのと似ているなと思いました。

私は頭の中で、どんどん私の元を離れて行ってしまうキャラクターの言動や感情を追いかけて、言葉にし、文章にします。

キャラクターに細かい設定をしている程、そうなります。


音楽も、楽譜からのイメージを細かく設定(和声の変化やアーティキュレーションの動機付け)しているからかなぁ。


この現象が起きた時の演奏は、やはり違うようで、先生から「曲に入り込んでいる」「これを聴いた人は皆、感動するでしょう」と高い評価を頂き、作品と同化できなかった演奏は「この辺、素に戻ってたね」と言われ、聴く人にも分かってしまうようでした。


演奏で個性を出すのは不可能ではないか?と思えました。

役者が役作りをし、演技している時、自分ではなくなる。

こう演奏しよう!と決めなくても、音が教えてくれるから。

こんな風に弾きたい、こういう音色にしたいと思うけれど、最終的には作品の方から話しかけられて、音に導かれるままに演奏しているのだと思います。