【作品分析②女性の権利】 | OPERA NOVELLA ~夢の舞台への軌跡~

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歌劇「ドン・パスクワーレ」
2024年7月21日(日)
ハーモニーホール座間・小ホールにて開催予定。こちらのブログ、Twitter、そしてfacebookページにてお知らせして参ります。どうぞご覧ください。

前回、歌劇〈ドン・パスクワーレ〉は風刺劇だとお伝えしました。まだご覧になられていない方はご一読くださると嬉しいです😌
    歌劇〈ドン・パスクワーレ〉は風刺劇🎭今回はその内容についてお話します😊

    皆さんは朝ドラ〈虎に翼〉をご覧ですか?裁判官を目指す女性主人公を筆頭に、弱者の立場と向き合う面白い物語です🧑🏻‍🎓


女中コロンビーナ(特にナポリで使用された役名)の絵


    まず前回お話した劇作家カルロ・ゴルドーニの戯曲〈二人の主人を一度に持つと〉、その登場人物の女中"ズメラルディーナ"の台詞をご覧下さい📕

「(前略)…女の浮気は有名だけれど、実際にするのは男。それもくらべものにならないような浮気をね。女がすると、とやかく言われて、男がすると何も言われない。女は批判されるけれど、男はまったく無傷。 どうしてかわかる。それは男が規則や法律を作ったからよ。もし女が作っていたら、まったく逆になっていたはず。」
引用:ミラノ・ピッコロ座来日記念日本語版上演台本「二人の主人を一度に持つと」(全訳)訳者:田之倉稔

「男性達が法律を作ったから、男性側が有利に書かれている🙆🏻‍♂️🙅🏻‍♀️」

と両作品が非難しています😳一方はヴェネツィア共和国18世紀の作品、かたや日本は令和になって風刺するお茶の間ドラマがようやく登場しました👏

    皆さんは「オペラの主題(テーマ)」は何だと思われますか?時代につれて変移した現在でも、主題なくして中身ある公演にはなりえません😤(自戒)

    私はこれまで向き合ってきた作品の物語背景には必ずと言って良い程、【時代に虐げられた女性】が登場します👱🏻‍♀️

「〇〇でなければいけない」

    沢山の人がカトリックを信仰するイタリアでは、今も聖母マリアの影響が大きいのは想像し易いでしょう👩🏻‍🍼処女のまま受胎告知を受けた聖母マリア✝️マスカーニ作、歌劇〈カヴァレリア・ルスティカーナ〉ではそのマリア崇拝がドラマの障害として描かれています⛪️過去のシチリアでは長時間二人っきりで家にいるだけで経験済みとされ、それで結婚出来なかった女性は村八分にされます🤨映画「マレーナ」(マグダラのマリアの意)でもモニカ・ベルッチ演ずるヒロインが、女性達に暴行され、髪を切り落とされていましたね😣


映画監督トルナトーレ作「マレーナ」女性達に髪を切られる衝撃的なシーン(売女の意)


    歌劇  〈ドン・パスクワーレ〉の女主人公ノリーナはなぜか【未亡人】と設定されています🤔これは風刺劇コメディア・デラルテでも同様で女中に未亡人設定が多くなされています🙄

それは何故でしょう?
皆さんはどう思われますか?

私はこの設定からマリア崇拝や経験済みであることと似た意図を感じます👩🏻‍🍼旧約聖書でもイブがヘビにそそのかされ、禁断の実を食べたことで人間は原罪、女性は様々な痛みを伴うことになりました🐍🍎👩🏻


ミケランジェロ作「原罪と楽園追放」


   コメディア・デラルテの女中で最も使用された名前は"フランチェスキーナ"。市民革命で女性の権利を得た【フランスの女性】の意味です🇫🇷


ドラクロワ作「民衆を導く自由の女神」


    保守的思考が強く、常に周りの目を気にしなくてはならないイタリア・ヨーロッパでは、男女問わずこうした風刺劇が良い憂さ晴らしになるのでしょう💨イタリアのBarzelletteという笑い話集がとても面白いですよ🤗

     次回は物語分析をしようと思います😌今回も最後までご覧いただき有難う御座いました💐

演出家・古川寛泰