まず、本件の経緯を時系列に記載する(あくまで番組で放送された範囲の理解なので、その点はあらかじめ了承いただきたい)。
・この松並木は、行政からすると管理外の自然物なので、枝葉は伸び放題の状態であった。
・被害に困った周辺住民は、枝を切ることを行政に依頼した。
・管理外の物であるが、行政としては周辺住民と通行者の安全性に配慮して、要望どおり枝を切ることにした。
・伐採するのは、住宅側(道路側)に伸びている枝とした。
・行政は、伐採を土木工事業者に発注した。
・発注された土木工事業者は、松のてっぺんまで届く機材を有していなかったため、所有する機材で届く高さの枝をすべて伐採した。
・ところが、被害はいっこうに軽減しなかった。
・周辺住民は、引き続きの対応を行政に依頼した。
・行政は、反対側(河川側)に伸びている枝も伐採することとし、土木工事業者に仕事を発注した。
・業者は、前回と同様に自社の有する機材の届く範囲で枝を伐採した。
・その結果、松並木はてっぺん部分だけに枝葉が残る異様な姿(ヤシの木状態)になってしまった。
・ヤシの木のような松並木は以前にも増して風の影響を受けるようになった。
・高い箇所から飛んでくる枝葉によって、かえって被害や危険度が増してしまった。
・しかたなく周辺住民は、松並木の全部伐採を行政に要請した。
・行政は、全部伐採をすることを決め、その旨を看板などで周辺に知らせた。
・全部伐採の計画を知った市民団体から行政に対して抗議が寄せられた。
・住民間での意見対立が発生したため、行政としては住民どうしで決着がつくまで全部伐採することを保留した。
・住民間で話しあいをしているが、現時点においては、意見の一致がみられていない。
・騒ぎを聞きつけたテレビ局が取材にきて、番組で放送した。
以上が事の経緯である。
「もっと早い段階で、私に相談して欲しかった・・・」
テレビ局取材班が、この松並木を樹木の専門家に見せた際のコメントである。
専門家によると、この松並木には剪定(せんてい)が必要であったが、現在の状態は剪定とはほど遠い状態になっているという。
剪定は樹木の最も高い枝から切るのが当たり前でなので、松をこのような姿にしてしまうのは信じられないということである。
こうなっては、手の施しようがないというのが専門家の判断であった。
この問題の原因は「専門家に伐採を依頼しなかったことである」と、とらえることもできるだろう。
しかし、創造思考型経営の視点からは、問題の本質はもっと深いところにあると考える。
いったい何が「ヤシの木みたいな松」を生み出してしまったのだろうか?
(つづく)