◇ジャズを初めて聴いたのは京都に住んでいた高校1年の夏。同じクラスにいて、何事も私より一歩も二歩も進んでいたNくんに「失恋したから付き合って」と京都・河原町のBALの横を入ったジャズ喫茶「Blue Note」に連れて行かれた。湾曲したカウンターにピアノの鍵盤が描いてあったのは覚えているが、どんな音楽を聴いたのかは覚えていない。
◇本格的にジャズを聴き出したのは大学1年の冬。初めて買ったレコードはチック・コリアのピアノソロ「Improvisation vol.1」とカーティス・フラーとベニー・ゴルソンの「ブルースエット」。前者は赤いクレヨンでChick Corea と書かれたジャケットで私がジャズピアノを好きになるきっかけになったアルバム。後者は、ビバップの名盤で1曲目のFivespot after dark の出だしが一気に私をジャズ好きにしてくれた。それと目立たないがトミ-・フラナガンのなんとも言えないピアノ演奏にも魅了された。その頃の京都には「ビッグボーイ」「Man・Hall」「蝶類図鑑」「YAMATOYA」「シャンクレール」など多くのジャズ喫茶があって、いつしか私も通うようになっていた。ジャズを聴きだしてしばらくしてから知ったのがビル・エバンス。トリオを組んでいたベーシストのスコット・ラファーロが交通事故で亡くなったのを悲しんで長い間ピアノを弾かなかったエピソードを『スイングジャーナル』で読んだのがきっかけだったかもしれない。コンサートにも何度か出かけたが、ある日コンサート会場のサンケイホールに行くと「ビル・エバンスが亡くなったのでコンサートは中止」と張り紙が出ていて、すごく落胆したのをよく覚えている。
◇ビル・エバンスの「ワルツフォーデビー」「エクスプロレイションズ」等とともに「アットモントルージャズフェスティバル」は私の愛聴盤だが、そのジャケットで見慣れたレマン湖の東端にあるシオン城が、パソコンをスリープ状態から立ち上げたときに現れた。どっかで見たことがある城やなと思って、CDラックを見るとアングルは違うが間違いないようだったので、絵にすることにした。
◇今年の2月にチック・コリアが80歳で亡くなった。ラ・フィエスタが有名だが私は「ナウヒシングズ・ナウヒソブズ」のアルバムが一番好きでレコードもCDも持っている。アメリカの詩人e.e.cumminngsの詩の一節がタイトルになったこのアルバムはジャケットの色合いもいいし、演奏に緊張感があっていつ聴いても聴きいってしまう。演奏も録音状態もすばらしいスティル・ライブというアルバムをよく聴くが、キース・ジャレットもピアノが弾けない状態になっているそうで、さみしい限り。
◇退職した6月から習っているジャズピアノは月2回レッスンがある。課題が3,4つ出され合格出来るように2週間練習して先生の前で弾くのだが、なかなか難しい。それでもぼけ防止にもなるだろうと続けている。私の数少ない長所に「何でも途中で止めない」というのがあると思っているが、その長所をよりどころにして、いつかビル・エバンスやチック・コリアのように即興演奏が出来たらと願っている。
