徳川いれずみ師 責め地獄(1969年東映) | 映画バカ一代~観らずに死ねるか~

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映画に関する想いのたけをぶちまけますね。辛口で行きます。たまに甘くなりますが。

東映の石井輝男監督による異常性愛路線第6作。

シリーズ3作目の『徳川女刑罰史』の第3話の

彫師のエピソードの拡大版ともいえる。

主演だった女優の行方不明騒動があったり

あまりの内容の過激さに石井輝男監督の排斥運動に

発展したとも言われるいわくつきの作品。

 

 

 

 

 

あらすじ

早くに両親を亡くした女・由美(片山由美子)は、残された借金返済がかさみ、

与力である鮫島(田中春男)の口ききで大黒屋への奉公が決まった。

しかしそこは刺青女がたむろする、

一度入ったら抜け出すことの出来ない世にも恐ろしい売春宿だった[

大黒屋の女主人お竜(藤本三重子)は由美にほれ込むが、由美は使用人の

弦蔵に犯され身ごもってしまう。嫉妬に狂ったお竜は弦蔵を殺し、由美には

貞操帯をはめるが…

 

 

 

 

 

 

 

 

需要な点

前半の江戸編と後半の長崎編の2部構成的な展開が面白い。

前半の主役は由美で後半は彫師の競争が呼ぶ悲劇を描いている。

ここまで幻想的なシナリオをよく書いたものだと感動した。

脚本は石井輝男と掛札昌裕の共同執筆で監督は石井輝男。

長崎編のカオスな出島は新東宝時代の『~地帯』シリーズの

無国籍感覚な舞台と共通していて監督も気に入っていたらしい。

カルト作品であるが現在は石井監督の最高傑作と評価する人も多く

特に海外ではすごい人気とのこと。わかる気がする。

ある意味突き抜けた作品であるためであろう。

 

良かった点

前半のヒロイン片山由美子は文字通り体を張った熱演。

後半のヒロイン橘ますみはドロドロしたごみためにいる

鶴の様で可憐で気高いヒロインを好演している。

 

悪かった点

とにかく、登場人物のほとんどが悪人というわかりやすさ。

悪人が故に友や仲間を平気で裏切る。最後は痛快なくらい

壮大な破滅がカタルシスを感じた。流石東映だ。