東映の異常性愛路線の全9本中5作目。
まだ『ストーカー』という言葉がなかった時代。
有名な『恐怖のメロディ』(1971年アメリカ)よりも先に
異常性愛者の行動を赤裸々に描いた作品として知られる。
当時のニューハーフが多数出演している、
あらすじ
京都市でバーのマダムの典子(橘ますみ)は妻子ありの染織会社の社長
深堀(若杉英二)との腐れ縁に困り果てていた。
深堀は異常に嫉妬深く、変態的な行為を典子にも強制するのだ。
妻子とも別れてくれず典子の母親も深堀に愛想を尽かしていた。
そんなある日典子は建築家の吉岡(吉田輝雄)と出会い彼に惹かれていく。
しかし深堀はますます嫉妬深くなり、変態的な行為はエスカレートしていく。
重要な点
石井監督は今作では時系列をバラバラすることで
これでもかと深堀の変態行為を観るものに叩きつけてくる。
ストーカーという言葉すらなかった当時は相当な恐怖でをもって
受け取られたかもしれない。誤解を招くかもしれないが
高度成長期の恋愛においては『いやよいやよも好きのうち』
『押して押して押しまくれ』『結婚しないと死んでやる』など
今ではコンプライアンスにひっかるような常套句も存在した。
それにつけてもこの作品の深堀の変態性愛は異常すぎる。
良かった点
橘ますみは石井作品では毎度お馴染みのヒロインだが、
やっぱり可憐で美しい。
悪かった点
この作品で特筆すべきは主演の若杉英二の演技のすばらしさに尽きる。
よくこんな役を引き受けたともいえる。