角川春樹事務所から独立しての薬師丸ひろ子の第一作目。
監督は松田優作の推薦で川島透。
製作は東映だが東映セントラル色が強い。
興行収益も14億円とヒットした作品。
海辺の家での花火が印象的だ。
あらすじ
15歳でデビューした女流作家の珠子(薬師丸ひろ子)は海辺の家に
住んでいる。友人たちとの語らいに飽きた珠子は都心へと車を走らす。
その頃チンピラの英二(柴田恭平)は兄貴分の滝口から呼び出され、
組長が殺され、その死体のよこにあった拳銃を預かる。
滝口が組長を殺したのだが、たまたま滝口が付いた嘘の娼婦の
姿と珠子の服装が同じだったことから、偶然に出会ってしまった英二と珠子の二人は
組織に追われることになる。
重要な点
川島透監督・脚本。川島監督は『竜二』『チ・ン・ピ・ラ』という傑作を
世に送り出しているが、この作品でも確信的に、
アイドルの薬師丸ひろ子と東映ヤクザ映画のコラボを、
ユーモアとオシャレな映像で、ファンダジー風の作品に仕上げている。
それでいて映像のクオリティは高い。
前半の六本木パートで盛り上げて、海岸の家でのラストに
引っ張る構成も巧みだ。
良かった点
独立1作目ということもあり、主演の薬師丸ひろ子は自由奔放に演技し、
スクリーン一杯に存在感を増している。
相手役の柴田恭平は安定のうまさ。監督が創作したファンタジーな世界観に
根拠を与えている。
悪かった点
細かいところだが、ストーリー的には破綻していて、
『この後、二人は警察や消防に怒られるだろうな?』など
と野暮なことを考えてしまった。
よく考えたら、おしゃれな川島版の『わらの犬』だ。(笑)