キャバレー(1986年角川春樹事務所) | 映画バカ一代~観らずに死ねるか~

映画バカ一代~観らずに死ねるか~

映画に関する想いのたけをぶちまけますね。辛口で行きます。たまに甘くなりますが。

時代の流れで映画や音楽にもその時代の個性みたいなものを感じることがある。

60年代の日本映画は娯楽の中心であり、白黒作品も多いが

多彩な監督が傑作を生みだしている。70年代は映画界の成熟化とTVドラマが振興

したことで、マンネリ化、パターン化していくがまだまだ傑作を生みだす力はあった。

しかし80年代はバブルで軽佻な時代風景なのか映画界は空洞化していく。

角川映画もそれを象徴していて、70年代の『犬神家の一族』『人間の証明』『野性の証明』

等の傑作を生みだしていたが80年代は『薬師丸ひろ子』『原田知世』『渡辺典子』の

いわゆる角川三人娘の映画にシフトしていく。

 

 

 

 

 

あらすじ

矢代(野村宏伸)は大学のJAZZサークルでは物足りず、本物のJAZZを求めて港町のキャバレーで

サックスの演奏をしている。キャバレーを仕切る滝川(加賀丈史)に気に入られている。ある日深夜に

滝川の命を狙う刺客の話を聞いた矢代は滝川にそれを知らせる。刺客を返り討ちにした滝川について

警察の小坂井(室田日出男)が矢代に尋ねるがキャバレーの歌手英子(三原じゅん子)の機転で

その場を逃れる。キャバレーに目をつけた小坂井がの前で張り込むと滝川は矢代に恵(倍賞美津子)

という女性を呼びだすように依頼する。恵は伝説のサックス奏者の妹で滝川の元恋人であった。

恵に携帯していた銃を預けると滝川は店を出ていく。その後恵の店で恵から自分の音について

矢代は何かを掴む。一方滝川の所属する菊川組は関東連合を敵に回して孤立化していく。

 

重要な点

角川春樹監督は映像は綺麗(カメラマンは仙元さんだから当たり前か)だが

はっきり言って中身がスカスカな演出、ハードボイルドを気取っているが

パロディにしか思えなかった。しかし原作は『グインサーガ』の栗本薫。

そうか!これはファンタジー小説なのだ。そこで腑に落ちた。

 

良かった点

カメオ出演が凄い。そっちで映画撮れるくらい凄い

ラストの襲名式の面々が濃くて笑ってしまったが

『丹波哲郎』『千葉真一』『渡瀬恒彦』『永島敏行』と凄いメンツが揃っている。

深作監督ならカメオ出演者だけでやくざ映画か時代劇1本取れそう。

 

悪かった点

野村宏伸初主演。かなりなセリフ棒読みで角川演出を破壊しまくってます。

ゴジラ並みの破壊力です。ただでさえ、音楽をセリフで語るのが難しいのにありえない演出。

主演にしては難しい役だったのか?個人的には本間優二を主役にして欲しかった。

ただこれはMTVと思ってみればそこで腑に落ちます。そのくらい音楽は素晴らしい。

『レフトアローン』が耳に残る。サントラも欲しくなった。

狙いはそこかもしれない(日本版フットルースか?)