誰もいない?

まさか!


ふざけてるんじゃねぇよ。

四月一日はまだまだ先だぜ?

冗談じゃねぇよ。


洗濯している最中の衣服のよろしくかき混ぜられた僕の脳みそは、フリーズ寸前だ。

むしろ、洗濯してやりたいぐらいだ。


もう一度僕は、廊下に出て、教室を回ることにした。

もしかしたら、人がいるかもしれない。


しれない。



三階、三年生の男子トイレの前。


床がぬれていた。

誰かいる。


物音が、廊下の奥から聞こえた。

僕の学校は、自転車で十分もかからない距離だ。

入学希望理由、通学時間。


一般高校生としては、よくある理由じゃないだろうか?


昼からの授業の分の教科書を、ゴミ箱に押し込むように、かばんに叩き込んだ。

教科書は本なんかじゃない。

ありがたみなんかない…よね?


雨合羽を着て、玄関を出る。


かばんを自転車の前かごに突っ込んで、僕は学校への道を走り出した。



降りしきる雨のせいだろうか?

もともと人通りの少ない道だからな。

通学路には人影がない。

そういえば、少し雨も勢いが強いような気がする。

警報でも出たのだろうか?



そして、学校に到着。

授業中だからだろう。

廊下に人影はない。


少し湿ったかばんを方にかけて教室に向かう。



教室に人はいなかった。



ほかの教室にも、誰も人はいなかった。



学校には、誰もいなかった。



僕以外は。

ふと部屋の片隅にある時計を確認してみる。


「・・・ああ、今から学校に行ってもぎりぎり遅刻だろうな。」


うっかり寝過ごしてしまったようだ。

そういえば今日は夕方まで親が出かけているのだった。

しかし、こんなことでへこたれる僕ではない。

どうせ今日はたいした授業もない。


重役出勤、男のロマンじゃないか。

そんなことを思いながら朝飯兼昼食をとる事にした。


そろそろ暑さを我慢できなくなってきたが、なんとか無視して着替え学校に行く準備をする。