菊挿すや裏山に立つ先祖墓
今日は、ひたすら雨です。燕が活発に動き回っております。こう言う日に餌の虫が沢山翔んでいるのでしょうか。
菊挿すや集団下校通る道
山の端に朝の日差しや菊を挿す
蔵の影庭にくつきり菊を挿す
方丈の来てゐる座敷菊を挿す
菊挿して渓流殊に弾みをり
菊挿して風軟らかく抱きをり
菊挿して日月早く過ぎゆけり
菊挿して天に溢れる鳥の歌
代々の家の骨組み菊を挿す
身体曲げ真つ直ぐにゆく蜥蜴かな
恐竜の退化ではなき蜥蜴かな
直角に山道過る蜥蜴かな
磐座は苔なすところ青蜥蜴
ひと噛みで身動きならぬ蜥蜴かな
石垣に洞の幾つも青蜥蜴
大岩の上で蜥蜴の物見せり
丸木橋慌てて逃げる蜥蜴かな
瑠璃蜥蜴湖畔に硝子美術館
残像てふ湿りたるもの青蜥蜴
苔の花大空が抱く山の小屋
木道に設置年月苔の花
山の名の訳に頷く苔の花
ひと谷にひとつ集落苔の花
手付かずの森の深さや苔の花
森に匂ひ石に形や苔の花
湧水の絶えぬ断層苔の花
苔の花お鷹の道といふところ
苔の花飛石でゆく所蔵倉
結界石幾つもありぬ苔の花