卯波立つ陸へと傾ぐ松林
午後になって、天気になりました。
岬みな断崖なりぬ卯月波
一湾を満たす卯波の一日かな
汚れたるままの玻璃戸や卯月波
押し寄せて島置き去りの卯月波
海峡を分けてゐるかに卯月波
子供の日人生ゲーム付き合ひぬ
子供の日アンパンマンのパンを買ふ
玩具屋のレジに並べる子供の日
子供の日一人遊びになれてをり
小流れも土橋も町に子供の日
天辺で物見する鳥子供の日
林道といふいろは坂栃の花
天と地の恵みの色の栃の花
鈴の音のやうに咲きたる栃の花
山道の岩場見守る栃の花
太古より森を統べをる栃の花
森の息吹空の息吹や栃の花
夜の新樹薄き灯りの露天風呂
車止め触れても見たき新樹かな
薄つすらと新樹の森の獣道
鳥の居る枝や新樹の森に立つ
森行けば新樹も森も柔らかし
年々に生まれ変はれる新樹かな
滝壺の青々として静寂あり
滝の音を浴びるだけ浴び山の道
滝といふ荒ぶる神の住むところ
岩削り岩を滑りて滝走る
修験滝上流といふ清らかさ
滝を見るための出つ張り飛沫けり