ぽつかりと雲のいくつか山笑ふ
今日は、南高尾の西山峠へ行ってきました。
強風をなにするものぞ燕ゆく
ホームへと演舞を見せてゐる燕
押し合ひて盛り上がりをる春の山
新緑の山を揺るがすやうに風
山吹の瀬の音高むところかな
花楓透明に水流れゆく
鶯や渓流の水清くして
伸びやかや新緑空を疑はず
圏央道交差する街花楓
ひと叢のまるで悪餓鬼芥子の花
新緑の山日に愛されてをりにけり
竹林を靡かせてゐる雲雀東風
川沿ひの小径の三つ葉躑躅かな
山肌の高みにをりぬ熊谷草
日差し今槍のごとくに熊谷草
ふつふつと流れゆくもの水芭蕉
道々のその山々の二輪草
鳥声が誘ひてゆく二輪草
澄む水の音が育てて二輪草
鶯が透明にする山の道
渓流を近々として浦島草
瀬の音に耳傾けて浦島草
山道の両脇固め二輪草
清流の音を声とす二輪草
二輪草何の秘密もなきごとく
新緑のひかりとなれるひとつ渓
二輪草西山峠てふところ
林間に雅やかなる花青木
丸木椅子峠にふたつ春の風
囀や峠に透けてをりし空
ひと渓を埋めてをりぬ二輪草
渓流のひかりと紛ふ二輪草
渓流のひかりに揺れて二輪草
豪族の館の跡や花青木