くつきりと富士の峰寒波来てをりぬ
天気の良い中にも寒波の気配があり、今朝は寒かったようで、シモバシラの花が出来てました。
冬木の芽母の手を振りほどく子よ
橋の名の残る四つ角冬すみれ
紅梅や旧街道の標立つ
紅梅や国府と国府結ぶ道
山茶花の中に鳥居る気配かな
発掘の重たき冬の土なりぬ
またひとつ団地の増へて葱畑
秘事のあるやに咲ける寒椿
ポケットに握る手のある寒日和
ひひらぎの花や園児ら散りゆけり
どぼんといふ声落葉のプールかな
盆梅や花弁大きすぎなひか
盆梅の恐竜のごと肌なりぬ
盆梅の屈折一樹一樹かな
盆梅の宇宙を使ひきる広さ
水仙のひかりを撮りてをりにけり
寒木瓜の人目につかぬやうにかな
緋毛氈敷ける長椅子枝垂れ梅
枝垂れ梅青空からの贈り物
くつきりと青空見せて梅の苑
梅の苑それぞれにある息吹かな
臘梅の富士山ひとつ据えてあり
臘梅のひかりを流す大河かな
臘梅の眩しさ命のひかりとも
臘梅の零し継ぐかに日のひかり
天界の歌声となる枝垂れ梅
天の声地の声和して梅の苑
冬萌のオセロのやうに増へゆけり
薄氷の鈍きひかりを果てしなく