枯野ゆくディーゼルといふ乗り心地
野上駅から総持寺の金子兜太の句碑と墓を訪ねて、氷池から長瀞アルプスを歩いてきました。
冬ざれを灯す日差しやデーゼル車
枯野へと大きく放つ汽笛かな
ひかりをる越生の梅の蕾かな
臘梅の朝のひかりとなりをりぬ
冬ざれに調べのごとく濃淡が
冬ざれの山盛りあがるほど濃淡
日光の雪嶺窓にしばし置く
日光の連山窓に寒日和
駅名に偲ぶむかしや梅真白
ストーブや金子兜太の太き文字
ぶつときは兜太の筆字湯気立てり
薪ストーブ笑顔の兜太居る写真
寒椿兜太の句碑のどつかりと
ストーブの煙兜太の筆太し
兜太の字烟らせてゐる薪ストーブ
兜太句碑秩父盆地に焚火立つ
味噌の名も兜太の筆やストーブ燃ゆ
ストーブや兜太がここに居るやうな
ひと渓の水を集めて氷池
ひと渓の静けさ集め氷池
春隣小鳥峠といふところ
アルプスてふ名付く連山冬木立
宝登山の杉隆々と寒の空
霊峰の静けさ寒さじんわりと
青空の棲むところまで朽葉道
見上ぐれば冬青空の山の道
矢印の先も坂道北風吹けり
北風が揺らせる尾根のテープかな
臘梅や真白き肌の武甲山
臘梅へ雲割れひかり差しにけり
山巓の殊に臘梅香り出す
雲割れて吾に見せたる冬の山
山巓の霊気と寒気奥社かな