冬の山ことなきごとくひとつ影
今日は、風が寒かったです。
関東へ風を放てる冬の山
稜線は翼をなして冬の山
ひかり立つ波となる風浮寝鳥
風のなき波なきところ浮寝鳥
天の青水の青へと冬の鳥
水鳥の波のリズムとなりにけり
水鳥の一族同じ模様なり
水鳥の俄にひとつ方へ向く
波尖り水鳥の声尖りけり
水鳥のひとつ湖面となつてをり
青銅の裸婦像浴びる冬日かな
浮寝鳥湖畔に樹下といふところ
かいつむりひとり心といふことも
かいつむり潜りて湖を鎮めけり
平らかな湖に一羽のかいつむり
冬烏影引き連れて飛び立てり
葉の艶に抱かれてゐる寒椿
苔をなす屋根に冬日の宿りかな
枯蓮の茎のみ残す池の空
土さえも混沌として枯蓮
さざ波のひかり冬鳥見る人へ
薄氷のデコボコなりしひかりかな
天と地の平らな隙間薄氷
冬もまた香り楽しみハーブ園
花弁を微かに開き冬菫
青空の賑はひとなる辛夷の芽
青空へ白炎放つ辛夷の芽
青空へ灯されてゐる辛夷の芽
探梅の歩を止めたる一樹かな
白梅へ友のごとくに白き雲