走り梅雨雲の間に間に多摩の山
もう梅雨に入ったような感じですが、今日は、良い天気になりました。
走り梅雨高楼の燈は点滅す
走り梅雨波のごとくに山の雲
欄干のみ残る道路や走り梅雨
街路樹の裾を十薬埋めをり
仕出屋の風をよく呼ぶ夏暖簾
梅の実を拾ひ集めてゐる園児
草の葉に玉なす雨滴梅雨晴間
貸畑ぐるりと囲みをる皐月
雨上がり夏鳥の声伸びゆけり
木道の音のくぐもる走り梅雨
雨上がり夏蝶乱舞果てしなし
梅雨晴間静けさのみが漂へる
小流れの見事に蕗の刈られあり
小流れへ水平に立つ額の花
走り梅雨森の香りを深呼吸
青楓水面に風のしらべあり
水底へ色を落として額の花
銭葵盾なすやうに道の辺に
縺れるにあらず解ける夏の蝶
花柘榴曇天の日の紅さかな
空に紅こぼしてをりぬ花柘榴
入梅や山門不幸立看板
薄絹の空を浮かべて麦の秋
良く延びて風の高さの矢車草
夏鶯森の小径といふところ
蜘蛛の囲を払ひてゆける小径かな
雀蜂来る樹に紐を渡しあり
山法師散りゆくままの一樹かな
さくらの実ひかり幾つか宿しをり
厳島神社に雪崩れなす紫陽花
山の風湖畔の風や濃紫陽花
風の来て花火てふ白紫陽花
白紫陽花まづは無心に咲きにけり