足音の響ける地下や寒稽古
今年初めての昼の雨でした。
日の出浴び走る白帯寒稽古
指先に集むる意志や寒稽古
沖を背に山へ正拳寒稽古
無理をせぬことが肝心寒稽古
寒鯉の色とりどりの法の池
寒鯉の気配も消してをりにけり
尾を曲げて生きる証や寒の鯉
生も死も一如となりぬ寒の鯉
吾が影に少し動ける寒の鯉
寒垢離のふつくら白きふくらはぎ
寒垢離の一家族にて三世代
寒垢離の経が弾ける水飛沫
白富士を望める日なり寒垢離
装束へ吸ひ付く肌や寒垢離
寒椿悲話持つ姫の墓に沿ふ
寒椿ご神体なるひとつ山
寒椿竹垣囲みをる茶室
庭ゆけば光と影や寒椿
寒椿水面を跳ねる魚のをり
寒造り蔵の外れに通用門
寒造り方言違ふ男たち
白壁の見上げる蔵や寒造
すつきりとのんど過ぎゆく寒造
寒木瓜や十二単衣といふ時代
寒木瓜や給食の香のする通り
寒木瓜や校倉造りの正倉院
寒木瓜やドラマの声の荒々し
寒木瓜や近頃見ざるチンドン屋