全天を覆ふ黄葉のひかりかな
風が少しありましたが、羽織るものはいらない感じでした。
綿虫の落葉のやうに来りけり
水木の実家族のやうに固まれり
秋蝶の色鮮やかに飛びゆけり
大池をぐるり囲める紅葉かな
中学の体験学習野紺菊
野をゆかば枯ゆくものに寄るこころ
秋草の一片ごとのひかりかな
黄葉の一樹大いなるひかりかな
青空に受け入れられてゐる紅葉
紅葉のきらめき湖のきらめきへ
黄葉を急かしてをりぬ空の風
秋の園答へ探してゐる少年
先生が手招きをして秋の園
葉牡丹の輪を描きをるハーブ園
葉牡丹の数へ切れざる渦の数
嵯峨菊の吾が道をゆくごとくとも
紅葉のひかりとなりぬ湖の面
白雲の下に紅葉の連なれる
石蕗の花樹下を守りてゐるやうな
一艘のボートを囲む紅葉かな
敗残の姿様々破蓮
秋蝶の天のひかりを分け来る
秋天の門とも秋の祭旗
日当たりて刃のやうに葱立てり
凹凸の見事冬耕田んぼかな
冬耕や原初の土の形とも
死といふは百様にして破蓮
破蓮のまるで血の池地獄とも
冬耕の田んぼ無頼の雀かな
残る虫炭焼跡といふところ