美ヶ原 | 俳句とお星様と山歩き

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俳句は、日々の散歩の頂きものです。お星様の話は、今は中断中です。山歩きは、主に奥多摩周辺が主です。2006年1月6日に開設したヤフーブログから移転してきました。よろしくお願い申し上げます。

 

美ヶ原

友との旅の三日目は、美ヶ原散策なので、朝はゆっくりと上屋敷で7時から朝食を頂き、雨降る中をまずは、松本に向けて友の車で出発する。松本からは、松本和田線67号を山肌に沿うジグザグ道であるが、山本小屋のある駐車場まで行く、高度は約二千メートル近くあるので、当然に山の天気で、雲を生む山塊である。雨は降ったり止んだりというところである。

すぐに準備をして出発する。駐車場から北へとゆけば牛伏山で、登山地図上では、15分ぐらいで到着するが、今日の予定は、王ケ頭まで往復する地図上では2時間10分のコースを辿ろうということで、雨が降るので、無理はしないということで行くも帰るも判断は個人任せである。山本小屋ふるさと館からは、すぐに左右が美ヶ原牧場で、ここは美ヶ原という名の通りに二千メートル級の山巓にある平原というか、天上の楽園のようなところである。延々と続く草原に寝そべっている牛、草を食む牛、小走りに行く牛、のどかと言えばのどか。」牧歌的と言えば牧歌的なところである。少し行けば、美ヶ原高原ホテルを左手に見て、土産物屋に混じって茸汁が200円とある、これはかなりそそられたが、連れもいることであるから、しばし我慢、その他、茸や野菜も売っているようである。ポニーが居て、子供たちのためにポニーの餌を紙コップに入れて売っている。噛まれないように気を付けてくださいとはある。町に居るポニーよりもぽっちゃりとして、肌も締まって綺麗に見える気がする。20分ほどで美しの塔へ至る。ここに長椅子があり結構利用されている。鐘がしきりに鳴っている。真っすぐに聞こえてくる鐘の音が澄んでいる。美しの塔へ刻まれているのは、岡本喜八の美ヶ原賛歌である。流石の文章で、吾が文章を考えれば、格調の違いは、まるで明らかである。さて、ここから十分程度で塩くれ場に到着する。ここからアルプス展望コースと茶臼山への登山道に分かれるが、何時雨が降りだすか分からないので、王ケ頭へ牧柵に沿って進む。やはり、すぐに雨が降り、風が少しなので、これだと傘で十分だろうと、雨具は着ないで傘を頼りに行く、広大な青々とした天上の牧場は、たとえ、雨が降っていたとしても素晴らしい。牧柵に沿って花は、ハクサンフウロ・アキノキリンソウ・ヤマハハコなどが数少ないながら色づいている。王ケ頭は雲の中で見えないが、牛伏山の方角は展望が開けて、広大な高嶺の高原が見事なビーナスの曲線を見せてくれている。さらに左手には山の鼻のような絶壁も見えて、その近くまで人影が望まれ、それもまた一つの景である。ゆるやかに左手に進路を採れば大きな「美ヶ原高原」の表示がある。霧の中から、王ケ頭ホテルが見え、一階のベランダ席で、登山者たちが休憩をとって昼食を頂いている姿が散見される。ホテルの裏へと廻れば、王ケ頭の表示のある石碑を見る。一面の霧で、残念ながら王ケ鼻への道も見えない。王ケ鼻は、晴れていれば、北アルプスの展望が素晴らしいだろうが、こころに北アルプスの山稜を描いて、断念する。王ケ頭からは、晴れていれば富士山が望めるということだが、望むべくもない。傘をさして帰路を急ごう。すぐに雨が上がり、どこを見渡しても人っ子一人いない。高原の展望が広がり、その風景に感嘆しつつ、山本小屋の駐車場に戻り、松本へと戻る。広島の友はもう一泊で、静岡の友は車なので、ここで別れ、私も松本から鈍行で帰り、運よく小渕沢でホリデー快速に乗れて、夜七時前にはご帰還であった。

ありがとう、美ヶ原。

ありがとう、友よ。