
がに股は代々のこと春田打つ
油断してマスクしないで外出すると、てきめんです。雨上がりだから大丈夫と思っていると、いけません。
朝靄に春耕の人揺らぎけり
忘却は罪かも知れず多喜二の忌
蝶の昼枯山水の内と外
高みてふ空の片隅いかのぼり
朝早き山の暮しや百千鳥
どの畔もへんてこりんや田螺鳴く
たらの芽と地酒たつぷり山の宿
何時までも齢とらぬ人チューリップ
野遊びの客が村中闊歩せり
この丘がバスの終点つくしんぼ
千畳敷海にもありて磯遊び
犬ふぐりひとつならざる銀河系
断崖を滝の轟音岩つばめ
尾根道につと止まれば春告鳥
氏神の社を守りて牛蛙
薄氷に濁りてふものなかりけり
山独活のはみ出してゐる背負子かな
仲間にもはれぞれの位置磯焚火
八ヶ岳背にする牧場苜蓿
手入れせぬ野梅のやうな林かな
青空へ紅蓮の山火飛びゆけり
梅見茶屋座りたくなる緋毛氈
浮き世には因果因縁芽立時
春泥の山巓まるで田圃なり