
(巾着田の一部です。)
街道の北山杉の影冴ゆる
美林というものを見たのは、北山である。
なるほど、これが美林と言うものなのか、美しいほどに手をかけて育て上げている。
それが美林である。
手をかければかけるほどに、何事もそうであるだろうが、答えてくれる。
見事と言うほかには言いようが無い。
枯かづら引けば比叡の鐘の音
大枯野かつて陸軍飛行場
枯れ蓮水にも錆の及びけり
寒垢離の水の染み入る肌の艶
瀬の水の冴へていや増す白さかな
杉の樹に霜の及びし通学路
霜の道マラソンマンの傾ぎ行く
大根葉豊かに広げ無人市
縁取りのやさしき京の煮大根
暖房の止みて窓打つ風雨かな
茶の花を両手で包む仕草かな
ちやんちやんこ着て金太郎桃太郎
名園の名脇役の石蕗の花
冬柳黒きひかりの水の面
枯すすき大正琴の何処より