今期の日本プロ野球は、例年とは大きく異なる点が二つあった。
それは、開幕直前に起きた東北大地震と、もう一つは球(ボール)を国際(統一)球に変えたことだった。
 
そのいずれもプロ野球界に与えた影響は大きかった。大地震は開幕日や日程の変更を余儀なくされ、一時は今期の開催も危ぶまれたほどだ。かなり揉めたが何とか開幕にこぎつけたのは、まだ記憶に新しいとこだろう。
 
そして、ボールの変更は、著しい『投高打低』の現象を生み出した。今期採用された国際試合用のボールは、アメリカのメジャーリーグで採用しているものとほぼ同じで、それまでの日本プロ野球で使用されていたボールに比べ、飛ばない、弾まない、といった代物だ。
 
今年のセ・パ両リーグの投手成績を見ると、防御率1点台が6人もいる。例年なら、1点台はダルビシュ有(日ハム)一人で、2点台でも両リーグ合わせても3、4人位しかいないのが、今期は何と20人もいる。これは異常としかいいようがない。
 
ということは、打者の成績は押して知るべきだろう。両リーグで3割打者が9人、本塁打を30本以上打ったのは、バレンティン(ヤクルト)31本と中村剛也(西武)48本の二人だけ、という情けなさだ。
 
ここから本題に入るが、では、なぜ殆どの打者が大きく成績を落としているのに、中村は48本も本塁打を打てたのか?
 
それは、打撃ポイントの違いにある。現在の日本のプロ野球の打者は、殆どが打撃ポイントを自分の体の前においている。つまり、投手の投げたボールを体の前で捉えるのだ。変化球の多い現代野球に対応するためだ。
 
しかし、中村は典型的なパワーヒッターなので、プロ入り前から出来る限りボールを懐に引き込んで上に飛ばす打撃を心がけていた。それが、数年前に他の打者と同じように、変化球に対応するため打撃ポイントを前に移したことに拠ってフォームを崩し、極端な打撃不振に陥ったことがあった。
 
中村は反省して、昨年から以前のフォームに戻した。そして更にそれに磨きをかけるような練習で完全に打撃フォームを固めたのだ。つまり、開き直ったのである。
 
それが功を奏し、弾まないボールに対しても、ボールを出来る限りひきつけ上に飛ばすことに拠って、ボールの勢いが落ちず、そのままスタンドに叩き込むことができたのだ。
 
日本で超一流といわれた打者(バッター)がメジャーで悉く成績を落としたのは、メジャーのレベルが高いというだけでなく、打撃ポイントの修正が旨く出来なかった、という理由もあったのだ。日本でボールを変えただけでこれだけ成績が落ちるのだから、当然といえば当然だろう。
 
余談だが、イチロー(マリナーズ)がメジャーリーグであれだけの成績を残しているのは、実は彼の打撃ポイントは後ろにあるからだ。つまり、長距離ヒッターと同じように、ボールを引き付けて打つのが彼の打撃なのだ。イチローのバットスウィングは1流打者の1.2倍ほど速いといわれており、それがために、バットの振り出しは遅くとも十分に狙いどころへ打つことができるのである。
 
まあ、来年になると、殆どの打者がボールに対応してくるはずで、今年ほど極端な『投高打低』は起きないだろうと考えられるので、来期はもう少し面白い野球が見られることだろう。
 
それに期待して、今日はここまで。
 
 
 
 
               西武ライオンズ  中村剛也
 
 
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