かけるというよりも、かかってしまうと言うのが正しいのかもしれませんが、その人の生活、心情、人生がぼんやりとわかってこないと鍼が打てないのです。
例えば治したい症状に「頭痛、肩こり」と書いてあったとして、その頭痛と肩こりの原因が、本当に五臓六腑、経絡から来ているものなのか、根源的な考え方から来ているものなのか、はたまた仕事の人間関係、小さい頃からの家庭環境から来ているのかなど、お話を聞いていく中で、本当に治したいものは「頭痛、肩こり」なのか？治したいのは身体なのか？ここに来た理由はなんなのか？など、いろいろな問いを考えながら、その人に私が何をしてあげられるのかを精一杯考えさせてもらいます。
単純に鍼を打ったからって効きません。効いたところでまぐれあたりです。
医療であるからにはちゃんとした論理立ったものでなくてはならないと思っていますし、何でかわからないけど効いたというよりは、突き詰めて考えて効いたという実感は次につながっていくと思っているからです。
ある人は「うつ病」と診断されてその後になんとかならないかとインターネットを調べ、私のところにやってきました。
病名はうつ病でしたが、私が話を聞いていくと「肩こり」が取れたら「自分の気持ちは大分楽になるのではないか？」とその人が漠然と思っていて、私がうつ病という症状だけをみないで、とりあえず「肩こり」がよくなるな治療をしていくことに。
すると、外にも出られるようになり、自分のやりたいことができるようになっていったという話です。
心の病も、身体から治していくと改善することがあります。
「気」というエネルギーが内側にこもってしまい、発散できない場合に気持ちが内向的になってしまうことがあります。
目の前の人が何を求めているのかを知ることが改善につながることもあるのですね。
私は、「何かやりたいことがありますか？」と質問することがあります。
その答えに大きなヒントになるようなこもがあって「旅」と書いてあったり、「人に優しくしたい」と書いてあったり、自分で書いたことがなんでそう書いたのか自分でも意外であったと思う方もいらっしゃいます。
自分が何をしたいのか？って案外わからないものですね。目標が不鮮明になっていることが自分の人生が滞る原因だったり、過去で止まっている人生が現在も動かないままであることが症状の本質であったり、人の身体に起こる症状は、簡単になくなるものではないことが多いです。
「私に何ができるか？」私はこの問いを出発点にして、目の前にいる困っている人の人生を一歩先に進ませてあげるために全力を尽くしていきます。
いろいろなお話を聞き、鍼一本に思いの全てをたくすことが私の仕事です。
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