昨年の4月から6月頃、このブログに何度かに分けて、主治医交代の話を書いた。妻の主治医と反りが合わず、別の先生に変えてもらったという話だ。
そのきっかけの一つが、身体障害者手帳申請のことだった。
妻は、昨年の2月に言語機能障害4級の手帳を受けていたが、同時に上肢、下肢にも症状があり、これらを合わせれば等級が上がる可能性があった。
等級が上がると助かることも多い。その頃、車椅子で乗り込める福祉車両を購入しようと考えていたのだが、言語機能障害4級では、税金の減免等は全く受けられない。しかし上肢、下肢の認定があれば話は違ってくる。
車椅子で移動しており、そのための自動車を買おうとしているのだ。上肢、下肢の申請もなんとかできないものか、主治医に相談しようと思った。
ところがろくに相談する間もなく、叱り飛ばされるようにはねのけられ、上肢、下肢はまだ早いからダメといった意味のことを言われた。
結局、夏までに福祉車両を購入したものの、税金の減免等は一切受けられなかった。
あれから半年と少し経ち、一昨日、新しい身体障害者手帳を受け取った。
今回の等級は1級だった。
言語機能障害4級に加え、両上肢障害2級、体幹機能障害2級が加算され1級になったようだ。
素人考えだが、もう半年早くても、2級か3級の認定は可能だったのではないかと思える。
また、妻は今のところ年金等も全く受けていないのだが、これも身体障害者の等級が高くなかったことによる。
ちなみに年金の等級は、身体障害者手帳の等級とは別立てで審査されることになっているが、そうは言っても、かけ離れた審査結果にはならないようで、とにかく4級では難しいということだった。
今月はじめに年金事務所に相談に行ったところ、1級か2級になりそうだし、もっと早く申請すれば良かったのではと言われた。もちろん分かっていたが、診断書を書いてくれなかったのだから仕方ない。
昨年7月に、別の先生に主治医を代わってもらったが、かと言って、すぐに障害者手帳申請の相談をするのは、はばかられ、11月にやっと言い出すことができた。
一級の手帳交付が今このタイミングになったのは、そういった経緯による。
ところで最近、前主治医についての噂を聞いた。
脳神経内科の部長を勤めておられたが、年齢のためか退職なさったらしい。その退職の少し前に、
「私も退職だからね、3級の診断書を書いといたよ」
といった意味のことをある患者さんに言ったのだそうだ。その患者さんはひどく気分を害したという。
又聞きの噂なので、話が盛られている可能性はもちろんあるが、僕が接してきた元主治医の印象からすると、いかにもそういうことを言いそうだ。
仕事は妥協なくなさるタイプなので、文句のない診断をされたのだと思うが、それとは別に悪気なく冗談を言われたのではないか。そんな風に想像する。
しかし笑えない。患者の身体、容態に関わることを冗談にするのは決して良い趣味ではなかろう。又聞きだが、僕も聞いただけで嫌な気分になった。
身体障害者手帳は交付されたものの、このあとまだ、随分と手続きが残っている。
障害年金と特別障害者手当の申請、それから自動車の名義変更。税金の減免のために、あらためて妻の名義にする。
ALSのような進行性の難病の場合、進行しないことを祈りながら、進行を待って色々な手続きしなければならない、何とも言えないジレンマというか、ストレスがある。
加えて一本化されていない手続き。
加えて医師とのやり取りで疲弊。
せめて最後の1つはなくても良かったように思う。
現主治医にはさほど不満はないが、こういった病気の場合、病院側が手続きの代行とまでは言わないが、誘導をしてくれると有り難い。
何もかも自分で調べ、不本意ながら進行する様子をみつつ、頃合いをみながら医師にこちらから持ちかけて相談しなけれはならなかった。そのストレスはとても大きい。