千田啓介、、と聞いて、ああ、ジャイアンツの千田選手だと呟いた方は
相当、巨人軍との絆の強い方だと思います。実はこの方は巨人軍が、
無敵を誇ったV9時代の長嶋・王のスーパースターの影に隠れた選手の
ひとりだったんです。今日はこの方にスポットライトを当てることにしまし
た。千田さんは現在あるマンションの管理人をされています。千田さん
が巨人に入団した当時は、ご存知のとおり長嶋茂雄というスーパース
ターが三塁を守っていました。いざ初めての守備練習のとき、松山商
時代から慣れ親しんだ三塁へ向かう千田選手に牧野コーチが呼びこう
言ったそうです”おい!君、いいかい巨人には長嶋茂雄という三塁手が
いるんだよ、サードに行くと一生、試合に出られないよ、よく覚えておき
なさい”とポカンとする千田選手にショートに行くよう指示したそうです。
まさしくON時代ならではエピソードですよね。川上監督からは”ひとには
生まれもった性格があってそれは変わらない。だけど自分の気持ちはコ
ントロールできる。それが大人というものだ。君もそうできるようになりな
さい。ところで君は長嶋に勝てるか”。”勝てません”。”じゃ肩ならどうだ”
”肩なら僕のほうが強いかもしれません”。”では王と駆けっこをしたらど
うだ”。”それなら僕が勝てます”。”君には長嶋や王に勝てるものがある
じゃないか、それを生かしなさい”。入団4年目、千田選手にも大きなチャ
ンスを得る。オープン戦後、内野に故障者が続出。広岡も風邪で2軍から
の補充も足りなくなった。”もうお前しかいないから行け”と言われて1軍に
あがりそのまま開幕まで残った。千田が一躍名をあげたのが5月19日
大洋戦だった。3回裏二死、8番の千田が3塁打、9番ピッチャーの中村
バッテリーは中村を切ればいいと無警戒。”イケそうだな”と牧野コーチ
に視線を送ると2度大きく頷いた。”よしっ”とばかりにホームスチールを
敢行。相手のピッチャーはあわててボールを投げ、見事にホームインし
た。”でもね”と千田。”実はあとで聞いた話では牧野コーチが頷いたのは
よく打ったということで”イケ”ということではなかった。だけど試合後、記者
団に囲まれた牧野コーチは”巨人軍にはノーサインはありえない”と答えた
という。ミーティングで川上監督に”おまえたちは機械の部品だ”と言われ
たことを千田は忘れない。”なんだ俺は部品なのか”と少し冷たく感じた。
でも私がロッテに移籍して日本シリーズを戦った。ロッテは自分がやれば
勝てるという個人プレーのチーム。巨人は例え長嶋、王さんでも「巨人軍」
というひとつの機械の部品。そういう伝統が巨人軍にはあるんです”。今
千田さんは”僕は不器用、ヨメさんはこんなはずじゃなかった”と思ってい
るんじゃないかな。管理人になり”経験はないけれど一生懸命心を込めて
務めます”と住民たちにあいさつした。V9を支えたひとがここにいる。
ナガシマさんや王さんだけがスターじゃない隠れたところで
しぶとく生きているひともいるんです ぐっさんハイ